「トヨタ車」で不具合が指摘されていた電子制御システムの問題を巡り、米運輸省が「欠陥はなかった」とする最終報告を発表した。トヨタ自動車の主張が認められた。
調査には米航空宇宙局(NASA)も加わった。専門家の調査で安全性が確認されたのは歓迎すべきだ。だが大規模リコール(回収・無償修理)が起きた1年前の騒ぎは何だったのか。理解に苦しむ点もある。
争点はトヨタ車で多発した「予期せぬ加速」の原因だった。トヨタは当初、「フロアマットに純正品を使わなかったのが原因」とし、リコールに消極的だった。それが米国民の不信を買い、結局は800万台近い車をリコールした。
関連する費用は2011年3月期決算まで2年続けて4000億円近くに達するが、初動での至らなさを考えれば仕方がなかった。あまりにも急激に生産や販売のグローバル化が進み、動きが鈍くなっていた。
しかしリコール問題の焦点が電子制御の安全性に移ってからは、米国政府の対応に問題があった。昨年2月、米テレビ局が電子回路の一部を傷つけてショートさせるとエンジンが加速する様子を実演し、放送した。それをきっかけに、今度は電子制御装置が急加速の原因ではないかと公聴会などで疑われだした。
結局は、映像に編集上の問題があったことが判明したが、米運輸省のラフード長官は当初から「トヨタ車には乗らない方がいい」と踏み込んで発言した。長官は8日の記者会見で「当時は電子制御に問題がないと言っても議会が納得しなかった」と弁明し、発言を撤回している。
米政府は原因の調査を尽くした。だが急加速の原因がはっきりしない段階から、監督する官庁のトップが企業名を挙げて「乗るな」というのは、公平でなかった。軽はずみな発言で「トヨタたたき」を必要以上にあおり、トヨタの米国での新車販売にも影響を与えた。
ゼネラル・モーターズ(GM)の再建や中間選挙などを控え、政治的には難しい時期だった。とはいえ企業は本来、公平・公正な条件下で競い合うべきであり、その土俵を整える役目を担う米政府に行き過ぎがあったのは納得できない。
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