中国人民銀行(中央銀行)は9日、金融機関の貸し出しと預金の基準金利を引き上げた。春節(旧正月)の大型連休が明けて早々の利上げで、インフレに対する強い危機感を示したといえる。一層の金融引き締めを予想する声は多い。中国の金融政策と経済運営に、これまで以上に注意を払っていく必要があろう。
利上げは今年初めて。リーマン・ショック後の金融緩和政策から引き締め方針に転じた2010年10月以降では、3回目になる。利上げの幅はそれぞれ0.25%で比較的小さいが、利上げのペースは速い。
中国の消費者物価上昇率は10年11月に前年同月比5.1%に達した。12月に4.6%に低下した後、北部の干ばつ被害が広がったことや世界的な食糧価格の上昇などで1月は再びインフレ傾向が強まった。1月の消費者物価上昇率は5.3~5.5%に達したとの観測が多い。
チュニジアの政変やエジプトの騒乱は物価高が一因だった。共産党政権は物価動向に神経をとがらせざるを得ない。不動産価格の上昇が続き、景気過熱の心配もある。連休最終日の8日にあえて利上げを発表したのは、インフレ期待を抑え不動産などへの投機を冷まそうという姿勢を強く印象づける狙いだろう。
ただ、利上げ後の1年物の定期預金金利はなお3%にとどまり、消費者物価上昇率を下回る状態は変わらない。利上げの効果は限定的との受け止め方が多い。
今年前半でさらに2回以上の利上げを実施するとの見方や、銀行貸し出しを抑制する効果のある預金準備率の引き上げを進めるとの予想が、早くも浮上している。
共産党は7月に創立90周年を迎える。12年秋には指導部の交代を決める党大会が予定されている。このため、景気が過熱し、その後に急減速する事態は何としても避けたいところだ。米国が空前の金融緩和を続けるなか、利上げは海外の投機資金の流入を招くとの懸念もある。
投機資金の流入を抑えつつ物価抑制効果も期待できる政策として、人民元の切り上げがある。10年6月から人民元の対ドル相場は徐々に上昇してきたが、ペースは緩やかだ。切り上げを加速すべきだろう。
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