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社説:小沢元代表の処分 一刻も早く決着つけよ

 「私たちもこの問題には終止符を打ちたいのだが」--。通常国会が始まって以来、野党側が、政治資金規正法違反で強制起訴された民主党の小沢一郎元代表の国会招致問題などを追及する際、こう前置きするのが定番になっている。元代表の国会招致や民主党の処分問題が一向に決着せず、国会が前に進まない要因になっていることに多くの国民がもはやうんざりしているのを野党も承知しているからだろう。

 そうした中、菅直人首相は10日、小沢元代表と会談し、元代表自身の裁判が終わるまで自発的に離党するよう求めた。だが、小沢元代表は拒否し、会談は平行線をたどった。

 岡田克也幹事長ら執行部は週明け以降、元代表に対する処分を決定する意向で、離党勧告などよりも軽い党員資格停止処分も検討されているという。党内の元代表を支持するグループはいずれの処分にも反対しているが、小沢元代表も「党が判断することだ」と語っている。党の亀裂を恐れず、一刻も早く決着を図るべきである。

 小沢元代表は首相との会談後、フリー記者らによる会見で検察審査会の議決によって強制起訴された点について「審査会は秘密のベールに包まれ、どういう判断基準か分からない」と反論したうえで、「(検察による起訴とは)本質的に違う」との考えを改めて示した。

 無論、刑事裁判は「無罪推定」が大原則だ。しかし、今回も刑事手続き上は同じ起訴であり、軽んじるのは疑問だ。そして再三指摘してきたように元代表の政治責任は別の話だ。特にこれまで一度も国会で説明してこなかった責任は大きい。

 この日も元代表は「裁判という公開の席で事実関係は明らかにされる。同時並行的に立法府で(真相究明を)するのは三権分立、基本的人権の理念のうえからもいかがなものか」と否定的だった。ならば、なぜ、強制起訴される前に、何度も機会があったにもかかわらず国会に出席しなかったのか。「不正はない」「どんな場でも包み隠さず話す」と言いながら、明らかに矛盾した行動である。党の要請に従わず、国会での説明をしてこなかった点だけを考えても処分は免れないというべきだ。

 首相は年頭の会見で「強制起訴された時には、政治家として出処進退を明らかにすべきだ」と踏み込みながら、この日に至るまで手をこまねいてきた。党執行部も野党側の証人喚問要求に対し、社民党や国民新党が消極的だとの理由で拒んでいる。民主党としてどう対応するつもりなのか腰が据わらない。国会を政策論争に専念できる場とするためにも、早急に自浄能力を示すべき時だ。

毎日新聞 2011年2月11日 2時32分

 

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