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ムバラク大統領「10日中にも声明」の報道

2011年2月11日6時8分

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 【カイロ=貫洞欣寛】ムバラク大統領の即時退陣を求める市民デモが続くエジプトの与党・国民民主党(NDP)のバドラウイ幹事長は10日、ムバラク大統領が権限をスレイマン副大統領に移譲すると語り、大統領が辞任する見通しであることを明らかにした。英BBCなどは、ムバラク氏が10日夜(日本時間11日未明)にも声明を出して発表すると報じている。

 ムバラク体制を支えてきたエジプト軍は10日夕、「軍の最高評議会は、祖国を防衛し、市民の正当な熱望に応じるため、今後も協議を続けることを決めた」とする「声明第1号」を発表。市民デモが続く中、軍部を中心に権限移譲と、治安維持の方策などの協議が続いている。衛星テレビ局アルジャジーラなどによると、デモが続くカイロ中心部のタハリール広場で、軍の幹部指揮官が同日、デモを続ける市民らに「みなさんの要求は満たされることになる」と述べた。

 バドラウイ幹事長は国営テレビで「ムバラク大統領は市民の要求にいつでも応じる。大統領は権限をスレイマン副大統領に移譲することになる」と述べた。ただ、アルジャジーラは関係者の話として「軍はスレイマン氏への権限移譲に留保をつけた」としており、軍部はスレイマン氏への移譲に反対している可能性を伝えた。

 大統領権限がスレイマン副大統領に移譲されれば、軍部と軍出身者を中心とする現在の体制が基本的に維持されることになる。

 デモを続ける市民の間では、スレイマン副大統領も「大統領と一体化して強権体制を支えてきた人物」と見られ、副大統領の同時退陣を求める声が強い。ムバラク大統領が権限を副大統領に譲ることを正式に発表した場合でも、デモが沈静化するかどうかは不透明だ。

 エジプトでは、市民デモによるチュニジアの政変に影響を受けたムバラク氏の即時退陣を求めるデモが1月25日から始まった。ムバラク氏は内閣を更迭し、スレイマン情報長官を副大統領に任命。自らも、「世襲」がうわさされた次男ガマル氏も、9月の大統領選には出馬しない意向を表明して沈静化を図った。しかし、30年続く強権支配に対する国民の反発は根強く、タハリール広場では連日、即時退陣を求める市民の波で埋まった。

 スレイマン副大統領は6日、野党勢力や知識人、財界人らを招いて「対話」を始めたが、ネット上でデモを呼びかけた若者中心のグループ「4月6日運動」などは参加せず、逆にデモに加わる市民の数は増えていった。野党勢力はイスラム教の金曜礼拝がある11日に3度目となる大規模な金曜デモを呼びかけており、タハリール広場はかつてない群衆で埋まっている。

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中東に駐在し、日々、中東の動きに接する川上編集委員が、めまぐるしく移り変わる中東情勢の複雑な背景を解きほぐし、今後の展望を踏まえつつ解説します。エジプトからの緊急報告も。


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