ライフ【児童養護施設の現場から】(1)職員が足りない!+(2/3ページ)(2011.2.9 07:47

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【児童養護施設の現場から】
(1)職員が足りない!

2011.2.9 07:47 (2/3ページ)
幼稚園に行っていない幼児たちのランチタイム。幼稚園の通園費用は平成21年度から、ようやく国と自治体から支給されるようになった=1月31日、千葉県船橋市の児童養護施設「恩寵園」

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幼稚園に行っていない幼児たちのランチタイム。幼稚園の通園費用は平成21年度から、ようやく国と自治体から支給されるようになった=1月31日、千葉県船橋市の児童養護施設「恩寵園」

 担当の保育士、河村亮子さん(37)は「1人の子に関わっていると他の子が後回しになり、おとなしい子は黙って我慢する。この職員数では子供の習い事の引率はもちろん、通院さえ十分にできない」。

増える被虐待児

 恩寵園は昭和21年に戦争で子供を亡くした夫妻が戦災孤児6人を引き取ったことをきっかけに27年、軍用施設の払い下げを受けて社会福祉法人として開園した。

 平成7年の内部告発で当時の園長と職員による施設内虐待が発覚した。12年に園長が傷害罪で、職員が強制わいせつ罪でそれぞれ逮捕・起訴され、有罪が確定。事件を契機に職員と理事を総入れ替えし、定期的に第三者による評価を受けるなど、“開かれた施設”へ変わった。

 しかし、施設内の虐待はなくなったが、子供たちの心と体を回復させる態勢は整っていない。厚生労働省の「児童養護施設入所児童等調査結果」(20年2月1日現在)によると、全国の児童養護施設に入所している子供たちの53・4%が家族からの虐待経験があった。また、4人に1人が知的障害や自閉症といった広汎性(こうはんせい)発達障害などの障害も持っていた。

 恩寵園でも身体的虐待、ネグレクト(育児放棄)による入所が多数を占める。70人のうち約4割に障害またはその疑いがあり、定期的な通院や手厚いケアが必要だ。5年前に就任した元船橋市福祉部長の鈴木淑弘(としひろ)園長は「衣食住を保障し、自立に向けて18歳になるまで学校に行かせたり、しつけをしたりするが、障害児に対応した施設にはなっていない。虐待などの苦しい体験をしてきた子供のケアも十分できない」と話す。

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幼稚園に行っていない幼児たちのランチタイム。幼稚園の通園費用は平成21年度から、ようやく国と自治体から支給されるようになった=1月31日、千葉県船橋市の児童養護施設「恩寵園」
児童養護施設に入所している児童のうち虐待を受けた経験がある割合とその種類

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