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中田7発ガチンコ佑撃ち「スキを見せず」

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フリー打撃で斎藤(手前)と対決した中田(撮影・井上学)
フリー打撃で斎藤(手前)と対決した中田(撮影・井上学)

 日本ハム中田翔内野手(21)が、佑ちゃんに「先輩」の貫禄を示した。10日、沖縄・名護キャンプで行ったフリー打撃で、ドラフト1位斎藤佑樹投手(22=早大)と「対決」した。06年夏の甲子園以来の再戦で周囲の注目を集めるなか、23スイングで7本の柵越え。キャンプ初日からの好調持続をアピールした。梨田監督を始め、他球団の偵察部隊から今年の充実ぶりを称賛する声も相次ぎ、4年目の今年、大きな飛躍を予感させた。

 打撃ケージに入ると、中田の耳にはスタンドからの拍手が聞こえてきた。ルーキーだった3年前にも起こった光景だが、今回は自分がその対象ではない。「耳には入りましたよ。斎藤さんの注目度はすごい。でも自分は流されず、集中しました。スキを見せず、打席に立てました」。いつものように足場をならし、白木のバットを構えた。

 18・44メートル先にいるのは、今年注目度NO・1の斎藤。06年夏の甲子園2回戦で激突して以来の“再戦”だ。当時大阪桐蔭2年だった中田は、早実3年の斎藤に4打数3三振と完敗している。「意識は全くないです。そんなしょうもないこと考えていない」。言葉通りに1球1球に集中。9球目をバックスクリーン右へ運ぶと、左へ右へ7本の柵越え。左中間席後方の防球ネットまで到達する大飛球もあった。23スイングのうち3割がオーバーフェンス。「今日は風が強かったので風のおかげ。(斎藤は)軽く投げてるのに、ボールにキレがあった。何回か差し込まれたし、すごいなと思った」と控えめに振り返ったが、口ではなくバットが、「どやっ!」とばかりにプロでの成長を物語った。

 打たせてもらうのがフリー打撃とはいえ、それを差し引いても中身があった。キャンプ初日から柵越えを連発し、スコアボードを直撃する「ガッシャーン」という音は、打撃練習時のお約束となっている。昨年ほど重心を下げない新打撃フォームでは、ゆったりとリラックスして投球を待ち受け、両脇を締めて体を開くことなくターンする。飛距離と確実性は格段に増した。梨田監督は「本当に状態がいい。(投球が)高くいくと(すべて)長打になる」と評価した。

 他球団の「007」も警戒を強める。スタンドから見ていた阪神嶋田スコアラーが「力があって、すごい」と話せば、8日まで視察していた西武根本スコアラーも「体がキレていて動きがいい」と、変貌ぶりに驚いていた。中田は「しっかりとフォームを確認しながらやれているのがいいのかな。今までは適当にやっていた」と、練習へ取り組む姿勢の変化を好調の要因に挙げた。

 野手と投手で練習メニューが違うため、まだ斎藤とは一言も言葉を交わしていない。「周りはどうしても斎藤さん、斎藤さんとなるけど、自分は自分のことだけ考えて。他人のことをどうこう言うことはないですね。しっかりやっていくだけ」。風貌もキャラクターも対照的な2人だが、タッグを組めば他球団には脅威になる。【本間翼】

 [2011年2月11日9時10分 紙面から]



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