首相、決別宣言 薄氷「3分の2」を自ら割る
産経新聞 2月11日(金)0時42分配信
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官邸に入った菅直人首相(写真:産経新聞) |
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小沢氏は10日夜、東京・大手町の料理店で鳩山由紀夫前首相、輿石東参院議員会長と夕食をともにした。
「厳重注意処分ならば分かるが…。相当厳しいことを言ってくるかもしれんな」
輿石氏が、14日の党役員会で厳しい処分を下される可能性を厳しい顔つきでほのめかすと、小沢氏は気にもとめない様子で久々に会った首相の印象をこう漏らした。
「菅さんの表情がいつもと違っていたなあ。ボソボソって感じで話をして。相当まいっているのかな…」
確かに首相は「3分の2」問題で頭を悩ませてきた。衆院で法案の再議決を可能とする「3分の2」議席の確保には最低318議席が必要だ。平成23年度予算案は憲法60条で衆院の議決が優越されるため問題ないが、予算執行に不可欠な特例公債法案や子ども手当法案など予算関連法案は参院で否決されれば、衆院で再議決するしかない。
現在、衆院の与党系は313議席。3分の2まで残り5議席だ。そこで首相が目をつけたのが、昨年5月に連立離脱した社民党の衆院6議席だった。
存在感を増したい社民には「渡りに船」だった。さっそく社民党の重野安正幹事長は10日の記者会見で「向こう側が話を求めてくればテーブルにはつく」と政権との予算修正協議に応じる方針を表明。阿部知子政審会長は、民主党の玄葉光一郎政調会長(国家戦略担当相)と会談し、14日からの協議入りを決めた。
政権の足元を見た社民党は“無理筋”の修正要求を突きつけた。米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾(ぎのわん)市)移設関連経費の取り下げや法人税減税の撤回はその最たるものだ。ある社民党幹部は政権との駆け引きを離婚訴訟の慰謝料請求に例える。
「最初に1千万円と言えば和解では800万円になる。500万円と言えば400万円になってしまう。だから初めから譲歩はしない」
衆院6議席の小政党にそこまで配慮を重ねてようやく到達する「3分の2」ラインだが、本当の波乱要因は足元に潜んでいる。
「予算関連法案の再議決で突然腹痛に襲われるかもしれないな…」
小沢氏に近い若手議員はこううそぶいた。意味するのは「腹痛」を理由にした棄権。小沢氏への離党勧告は“造反リスク”を誘発した。
そもそも薄氷の「3分の2」ラインは小沢氏自身の「賛成」も計算に入る。小沢氏の元秘書で民主党を離党した石川知裕衆院議員も与党系無所属にカウントされている。
それだけに民主党中堅は10日、「小沢切り」に動く首相を痛烈に批判した。「3分の2をかき集めようと必死になっているのに何でそれを壊すようなことを…。ネジがずれてるんじゃないの?」
加えて社民党にすり寄ったことで自民党など他の野党の協力はほぼ絶望的となった。首相が最重要課題に掲げる税と社会保障の一体改革も「絵に描いた餅」となりつつある。
3月末にも予定される予算関連法案の衆院再議決。これが政権のXデーになるよう時限爆弾を設置したのは皮肉にも首相自身だった。小沢氏に近い中堅は諦め顔でつぶやいた。
「もう予算なんて通らない。内閣総辞職だろう。そうじゃなかったら民主党解散だな…」
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最終更新:2月11日(金)8時3分
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