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小沢・民主元代表:処分問題 「離党促し」拒否 グループ反発、狙いは「3月危機」

 <分析>

 強制起訴された民主党の小沢一郎元代表の処分問題で、菅直人首相が10日、小沢元代表に離党を促す強い姿勢を示したことで、小沢グループは「政権交代の功労者を忘れたのか」(中堅議員)と反発を強めている。小沢元代表は11年度予算案と関連法案審議が行き詰まる「3月危機」を見据え、党内での影響力を確保する構えだ。【葛西大博】

 小沢元代表は10日夜、鳩山由紀夫前首相、輿石東参院議員会長と東京都内で会談。「本来の民主党とはまるで違う姿になりつつある。景気が悪いのに消費税を上げる話をするのはどういうことなのか」と菅政権を批判。「首相の表情がいつもと違っていた。ぼそぼそと話をしていた。相当まいっているな」などと語った。輿石氏は「処分は反対だ。厳重注意ぐらいならいいが、厳しくやってくるだろう」と懸念を示した。

 鳩山氏は会談後、記者団に「深刻なのは小沢さんの問題ではなく、公明党や社民党(との協力)など政権がこれからどうなっていくかだ」と語った。

 小沢元代表を支持する衆院新人議員で作る「北辰会」は10日、約30人が集まり、執行部に対し、週明けにも処分をしないよう求める申し入れを行うことを決めた。また岩手県連所属国会議員7人と同県議24人も10日、岡田克也幹事長に同様の申し入れをした。

 ただし、小沢グループが党分裂や集団離党まで激化する様子はない。小沢元代表を支持する一新会の会長の鈴木克昌副総務相は「冷静に推移を見守るしかない」と言葉を濁した。小沢元代表は10日のインターネット番組の記者会見では「党の処分が多数の意見であれば仕方がない」とも語った。

 党執行部は最長6カ月(延長可能)の党員資格停止処分を軸に調整する方針。党員資格停止の期間は政党支部への交付金は受けられず、衆院解散・総選挙があっても公認を得られない。代表選への立候補資格も失う。ただ、小沢元代表は強固な支持・後援会組織を持ち、党公認が無くても十分戦える。資金力も豊富だ。

 小沢元代表は3月下旬に審議の山場を迎える予算関連法案や4月の統一地方選を控え、菅政権が早晩行き詰まるとみている。執行部の処分を可能な限り軽いものに押し返し、「3月危機」を転機に巻き返しを狙う姿勢とみられる。

 10日のインターネット番組の会見では、愛知県知事選と名古屋市長選で民主党推薦候補を破った大村秀章氏と河村たかし氏について「自分の主張を曲げずに推し進めたことが県民、市民の共感を得た」と述べ、菅政権が国民の支持を失っているとほのめかした。

毎日新聞 2011年2月11日 東京朝刊

 

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