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死刑囚の精神状態を全国調査 「拘束が原因の異常」数人(1/2ページ)

2011年2月11日3時29分

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 千葉景子元法相が在任中の昨夏、全国の拘置所に収監中の死刑囚約110人の精神状態を調べるよう指示し、広範囲に精神鑑定を実施したことがわかった。鑑定の結果、精神状態に異常をきたす「拘禁反応」が疑われる死刑囚も数人いた。法務省によると、死刑囚の精神状態を死刑執行前に調べる場合はあるが、全国一斉に調査した例はないという。

 法務省は死刑執行の検討過程のほか、死刑囚の精神状態や医療行為についても、個人のプライバシーなどを理由に弁護人にも非公開としている。日本弁護士連合会(日弁連)や人権団体からは「処遇や執行が適切に行われているのか検証できない」という批判がある。今回の精神鑑定についても結果を公表する予定はない。裁判員裁判が定着し、市民が死刑の是非についても判断し始めている中、死刑制度をめぐる情報公開のあり方の面からも議論を呼びそうだ。

 同省関係者らによると、千葉氏は法相だった昨年8月下旬、静岡県で1966年に一家4人が殺害された「袴田事件」で死刑判決が確定した袴田巌死刑囚(74)の救援をめざす議員連盟の議員と面会。冤罪(えんざい)の可能性と精神状態の悪化を理由に死刑執行の停止を求められた。

 要望を受けた千葉氏は、人権上の観点などから、袴田死刑囚に限らず、全国7カ所の拘置所に収監されている死刑囚約110人全員の精神状態を把握する必要があると判断し、精神的に不安定な死刑囚には精神鑑定を実施するよう同省に指示。広範囲に調査と鑑定を行った結果、拘禁反応が疑われる死刑囚が数人判明した。

 刑事訴訟法では、鑑定で責任能力が問えない「心神喪失」と判断された死刑囚は、法相の命令で死刑執行が停止されるが、今回は心神喪失に該当するケースはなかったとされる。

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