2011年2月2日15時0分
大相撲の野球賭博事件の捜査で警視庁が力士らの携帯電話のメールを調べる中で、相撲の取組で八百長が行われていたことをうかがわせる内容のメールが見つかっていたことがわかった。昨年の3月場所と5月場所の取組で八百長が行われたとみられる内容で、勝ち星を数十万円で売買していたととれるメールも含まれているという。
警察当局は、日本相撲協会の監督官庁の文部科学省に連絡。文科省は2日、協会に対し外部の有識者でつくる協会内の委員会で調査し、結果を報告するよう求めた。協会は同日午後、東京・両国の国技館で緊急理事会を開き、対応の協議を始めた。
大相撲の八百長疑惑はこれまで週刊誌報道などでたびたび指摘されてきたが、協会側は民事裁判などで八百長の存在を一貫して否定してきた。
関係者や文科省幹部によると、メールは「今度はこちらをよろしく」「今回の取組はスムーズだったね」などといった趣旨の記述。取組相手同士で「ぶつかってその後、流れでいきましょう」「すぐにはたかないで途中で投げます」など土俵での具体的な動きを記したものもあるという。
また、「二つ貸したから一つ返してもらうよ」「○○には貸し、○○には借り」など、星の貸し借りや、星を一番数十万円で売買していたとみられる20、30、50などの数字もあった。振込先とみられる銀行口座の番号もあった。
警視庁が昨年7月、賭博事件の捜査で押収した携帯電話を解析。その結果、当時の十両春日錦(現在は春日野部屋付親方)と十両千代白鵬の携帯に八百長とうかがえるメールがあった。さらに、この2人が、十両清瀬海と三段目の恵那司とメールをやりとりしていることが判明。4人のメールの中には、八百長に関与した可能性がある力士9人(うち幕内4人)の名前があったという。メールは昨年3〜6月に送受信されたという。
警察当局が文科省に説明したところでは、メールのやりとりに沿った取組結果になっていたという。
八百長自体は犯罪に当たらず、刑事事件として立件される可能性は低いとみられる。