2月8日火曜日の放課後、Aくん、Bくん、息子の3人は駅前東急2階でお菓子を万引きした。
息子はハイチュウを食べてしまったが、AくんとBくんは良心の呵責で食べることができず、
翌9日水曜日の放課後、東急に盗んだお菓子を返しに行き、店員に謝罪をした……
というのが、学校側が調査をした「万引き事件の顛末」でしたが、
誰も(AくんBくんの保護者も、学校の先生も)東急に確認をせずに、AくんとBくんの話を鵜呑みにした、ということに、
わたしは違和感を覚えました。
(AくんとBくんは仲が良く、お母さん同士も親しく交際している)
怒らず、責めず、焦らず、ひとつひとつ取材をするように丹念に、息子に訊いていきました。
以下は、わたしと息子のやりとり。
「あなたが盗んだのは、ハイチュウひとつ?」
「うん」
「なにハイチュウ?」
「いちごハイチュウ」
「どこで食べたの?」
「2コだけ食べて、残りは捨てた」
「どこに?」
「川」
「どこの川」
「ほら、和らぎ(弁当屋)の前の川だよ」
「川に捨てたんなら、ハイチュウは重いから、今も沈んだままだね。これから探しに行く。無かったら、嘘だってことになるね」
「…………」
「ほんとは、どこに捨てたの?」
「……公園」
「どこの公園?」
「川の前の公園。雪ノ下のちっちゃな公園だよ」
「公園のどこ?」
「……倉庫の下に隠した」
「捨てたんじゃなくて、隠したんだね。探しに行こう」
「もう、ないかもしれないよ」
「今の話が嘘じゃなかったら、あるよ。行こう」
「いいよ、自分で行く。ダダ(生後3ヶ月から息子の面倒をみてくださっている寺田さん)といっしょに行く」
と、息子は、寺田さんと二人で公園に行きました。
今度の話も嘘かもしれない、やっぱり無かった、と言って泣きながら帰ってくる可能性が高い、
と全身を硬くして待っていました。
思いのほか帰宅は早く、リビングに入ってきた寺田さんの右手にはハイチュウの袋がありました。
息子が説明した12つぶ入のいちごハイチュウではありません。
ハイチュウアソート94グラムの大袋です。
袋は開けてあって、何つぶか食べてありました。
寺田さんの顔が真っ青でした。
「他にもまだ、お菓子の袋とかオモチャの箱とかたくさん隠してあるんです。タケちゃんから聞いたんですけど、AくんとBくんが盗んだお菓子を
東急に返しに行ったというのは嘘なんです……」
すると、息子が泣き出しました。
「どうしよう! AとBに殺される!」
「なに? 殺されるって、なによ」
「親とか先生に言いつけたら、ボコボコにする、殺してやるって……」
「だれが?」
「AとBが……」
息子の話によると、下記のようになります。
AくんとBくんは万引きの常習犯で、「戦利品」を学校に持ってきたり、「戦利品リスト」を作って見せびらかしていた。
5年になってから、息子はAくんとBくんの「パシリ」のようになり、殴られたり蹴られたりするようになった。
8日火曜日、息子は万引きに誘われる。
最初は島森書店、息子は二人がオモチャと文具を万引きするのを傍観。
(AくんとBくんは島森書店の監視カメラの位置を熟知していた)
(Bくんは翌日学校に盗んだ練り消しを持参していた)
島森書店を出たあと、東急で万引きをしよう、と息子は二人に誘われる。
プラモ付菓子をポケットや上着のなかに突っ込む二人の姿を隠すために、
後ろから覆いかぶさるよう(体重70kgの巨漢の)息子は指示され、その通りにする。
そのあと、「おまえも盗れ」とAくんに脅され、
「リュックを足元に置いて、チャックを開けろ」とBくんに教えられた通りのやり方で、
息子は、ハイチュウアソート94グラムの大袋をリュックに突っ込む。
3人は何食わぬ顔で、東急をあとにし、雪ノ下にある(いつも人気がない)児童公園に向かった。
その公園が、AくんとBくんがいつも利用している「戦利品」の箱や袋を隠す「誰にもバレない場所」だというのだ。
砂場の左手にはステンレスの物置があり、
物置とフェンスの隙間に人ひとりがやっと通れるくらいの隙間がある。
その隙間に入り込んで、3人はハイチュウの大袋を開けて食べる。
AくんとBくんは、お菓子のプラモデルを組み立てる。
(息子は、プラモデルには全く興味がありません)
Bくんは練り消しをいじりはじめる。
二人は、息子を「このことを、親や先生に言いつけたら殺すぞ!」と脅し、
空箱や空袋やハイチュウの残りが入った袋を、ステンレス物置の下に隠して立ち去る。
翌9日水曜日の昼休み、学校の駐車場で、息子はAくんとBくんの前にひざまずかされる。
「おれたちは、今日東急に盗んだお菓子を返しに行くってことにするけど、実際は返さない。このことを先生や親に言いつけたら、大変なことにな
るからな!」
息子は、Aくんに顔を蹴られる。
その様子は、AくんとBくん以外にも、たまたま車で学校に入ってきたC先生(「タケちゃん大丈夫?」と声を掛けてくれたらしい)と、
DくんとEくんも目撃している。
AくんとBくんは、息子とDくんとEくんに命令する。
「月曜日、大船の日進にプラモデルを万引きしに行くから、電車賃の160円を持ってこい!」
Eくんは、「月曜日は無理」と断るが、
気の弱い息子とDくんは約束をさせられ、
「約束を破ったり、秘密を洩らしたりしたら、殺すぞ!」と脅迫される。
わたしは、学校に電話をして、この経緯を先生に話し、
AくんとBくんが「戦利品」を隠している「現場」を確認してほしい、とお願いしました。
担任の先生はお帰りになられた、ということですが、
保健室の先生と、別のクラスの担任の先生が立ち会って、
「戦利品」を学校に持ち帰ってくださいました。
Aくん、Bくん、Dくん、Eくんの聞き取りは連休明けの2月14日月曜日になるそうですが、
わたしは、いま、親しくしているDくんのお母さんに、経緯を説明するメールを送りました。
事を大きくして、と非難されるかもしれませんが、
事を小さく小さくまとめ、学校と家の中に隠蔽しようとするから、
イジメや恐喝や自殺のようなかたちで暴発してしまうのです。
現時点で、事が明らかになって、よかったと思います。
最後に、
息子は被害者ではありますが、
窃盗犯だという事実は揺るがないので、
月曜日、聞き取りの後、
息子と共に東急に謝罪に参ります。
息子はハイチュウを食べてしまったが、AくんとBくんは良心の呵責で食べることができず、
翌9日水曜日の放課後、東急に盗んだお菓子を返しに行き、店員に謝罪をした……
というのが、学校側が調査をした「万引き事件の顛末」でしたが、
誰も(AくんBくんの保護者も、学校の先生も)東急に確認をせずに、AくんとBくんの話を鵜呑みにした、ということに、
わたしは違和感を覚えました。
(AくんとBくんは仲が良く、お母さん同士も親しく交際している)
怒らず、責めず、焦らず、ひとつひとつ取材をするように丹念に、息子に訊いていきました。
以下は、わたしと息子のやりとり。
「あなたが盗んだのは、ハイチュウひとつ?」
「うん」
「なにハイチュウ?」
「いちごハイチュウ」
「どこで食べたの?」
「2コだけ食べて、残りは捨てた」
「どこに?」
「川」
「どこの川」
「ほら、和らぎ(弁当屋)の前の川だよ」
「川に捨てたんなら、ハイチュウは重いから、今も沈んだままだね。これから探しに行く。無かったら、嘘だってことになるね」
「…………」
「ほんとは、どこに捨てたの?」
「……公園」
「どこの公園?」
「川の前の公園。雪ノ下のちっちゃな公園だよ」
「公園のどこ?」
「……倉庫の下に隠した」
「捨てたんじゃなくて、隠したんだね。探しに行こう」
「もう、ないかもしれないよ」
「今の話が嘘じゃなかったら、あるよ。行こう」
「いいよ、自分で行く。ダダ(生後3ヶ月から息子の面倒をみてくださっている寺田さん)といっしょに行く」
と、息子は、寺田さんと二人で公園に行きました。
今度の話も嘘かもしれない、やっぱり無かった、と言って泣きながら帰ってくる可能性が高い、
と全身を硬くして待っていました。
思いのほか帰宅は早く、リビングに入ってきた寺田さんの右手にはハイチュウの袋がありました。
息子が説明した12つぶ入のいちごハイチュウではありません。
ハイチュウアソート94グラムの大袋です。
袋は開けてあって、何つぶか食べてありました。
寺田さんの顔が真っ青でした。
「他にもまだ、お菓子の袋とかオモチャの箱とかたくさん隠してあるんです。タケちゃんから聞いたんですけど、AくんとBくんが盗んだお菓子を
東急に返しに行ったというのは嘘なんです……」
すると、息子が泣き出しました。
「どうしよう! AとBに殺される!」
「なに? 殺されるって、なによ」
「親とか先生に言いつけたら、ボコボコにする、殺してやるって……」
「だれが?」
「AとBが……」
息子の話によると、下記のようになります。
AくんとBくんは万引きの常習犯で、「戦利品」を学校に持ってきたり、「戦利品リスト」を作って見せびらかしていた。
5年になってから、息子はAくんとBくんの「パシリ」のようになり、殴られたり蹴られたりするようになった。
8日火曜日、息子は万引きに誘われる。
最初は島森書店、息子は二人がオモチャと文具を万引きするのを傍観。
(AくんとBくんは島森書店の監視カメラの位置を熟知していた)
(Bくんは翌日学校に盗んだ練り消しを持参していた)
島森書店を出たあと、東急で万引きをしよう、と息子は二人に誘われる。
プラモ付菓子をポケットや上着のなかに突っ込む二人の姿を隠すために、
後ろから覆いかぶさるよう(体重70kgの巨漢の)息子は指示され、その通りにする。
そのあと、「おまえも盗れ」とAくんに脅され、
「リュックを足元に置いて、チャックを開けろ」とBくんに教えられた通りのやり方で、
息子は、ハイチュウアソート94グラムの大袋をリュックに突っ込む。
3人は何食わぬ顔で、東急をあとにし、雪ノ下にある(いつも人気がない)児童公園に向かった。
その公園が、AくんとBくんがいつも利用している「戦利品」の箱や袋を隠す「誰にもバレない場所」だというのだ。
砂場の左手にはステンレスの物置があり、
物置とフェンスの隙間に人ひとりがやっと通れるくらいの隙間がある。
その隙間に入り込んで、3人はハイチュウの大袋を開けて食べる。
AくんとBくんは、お菓子のプラモデルを組み立てる。
(息子は、プラモデルには全く興味がありません)
Bくんは練り消しをいじりはじめる。
二人は、息子を「このことを、親や先生に言いつけたら殺すぞ!」と脅し、
空箱や空袋やハイチュウの残りが入った袋を、ステンレス物置の下に隠して立ち去る。
翌9日水曜日の昼休み、学校の駐車場で、息子はAくんとBくんの前にひざまずかされる。
「おれたちは、今日東急に盗んだお菓子を返しに行くってことにするけど、実際は返さない。このことを先生や親に言いつけたら、大変なことにな
るからな!」
息子は、Aくんに顔を蹴られる。
その様子は、AくんとBくん以外にも、たまたま車で学校に入ってきたC先生(「タケちゃん大丈夫?」と声を掛けてくれたらしい)と、
DくんとEくんも目撃している。
AくんとBくんは、息子とDくんとEくんに命令する。
「月曜日、大船の日進にプラモデルを万引きしに行くから、電車賃の160円を持ってこい!」
Eくんは、「月曜日は無理」と断るが、
気の弱い息子とDくんは約束をさせられ、
「約束を破ったり、秘密を洩らしたりしたら、殺すぞ!」と脅迫される。
わたしは、学校に電話をして、この経緯を先生に話し、
AくんとBくんが「戦利品」を隠している「現場」を確認してほしい、とお願いしました。
担任の先生はお帰りになられた、ということですが、
保健室の先生と、別のクラスの担任の先生が立ち会って、
「戦利品」を学校に持ち帰ってくださいました。
Aくん、Bくん、Dくん、Eくんの聞き取りは連休明けの2月14日月曜日になるそうですが、
わたしは、いま、親しくしているDくんのお母さんに、経緯を説明するメールを送りました。
事を大きくして、と非難されるかもしれませんが、
事を小さく小さくまとめ、学校と家の中に隠蔽しようとするから、
イジメや恐喝や自殺のようなかたちで暴発してしまうのです。
現時点で、事が明らかになって、よかったと思います。
最後に、
息子は被害者ではありますが、
窃盗犯だという事実は揺るがないので、
月曜日、聞き取りの後、
息子と共に東急に謝罪に参ります。