ヒットメーカー・梶浦由記のプロジェクト=3人組ボーカルユニット、Kalafina(カラフィナ)が2011年初となるシングル「Magia」(TBS ・MBS系アニメーション『魔法少女まどか☆マギカ』エンディング・テーマ)をリリースする。
2008年のデビュー以来、三者三様の美しい歌声と神秘的な世界観を持って飛躍し続けている彼女たちが今作で表現したのは、“リアリティのある力強さ”。今までとは一味違ったテーマを持った楽曲にどんな気持ちで挑戦したのか──3人に訊いた。
──まず、2011年初となるシングルが完成した今の心境はいかがでしょうか。
Wakana: どのシングルでも皆さんが新鮮に感じるような楽曲を届けたいと思ってるんですけど、今回も今までとは違った新しい部分をたくさんお見せできる1曲になったと思います。しかも、この楽曲が使われているテレビアニメ『魔法少女まどか☆マギカ』も凄く面白くて。そういったステキなアニメのエンディングを飾らせていただけたことも嬉しいですね。このタイトルはラテン語で「魔法・魔術」といった意味を持っているんですけど、本当に、聴く人にとって魔法のような1曲になって欲しいなと願っています。
Keiko:ジャケット、曲、歌声からも“強さ”を感じてもらえるような1曲になっていると思います。今年は攻めの1年にしたいなと思っていたので、そんな中こういう曲でスタートを切れるというのが凄く嬉しくて、今から発売が楽しみで仕方ない感じですね。
Hikaru:今までも新曲が出るたびに“挑戦でした”ってお話をしているんですけど、今回もやっぱり挑戦で。梶浦さんの作られる曲って、新しい魅力を引き出してくれる楽曲が凄く多いんですよね。しかもプラスアルファで“こんなこともやってみたい”って考えてしまうような、創作意欲が高まる楽曲が本当に多いんです。「Magia」も新しいことがたくさん出来た1曲になったと思います。
──今回の新曲「Magia」は、独創的なリズムと神秘的なメロディー、3人の凛とした歌声で疾走していくアッパーなナンバーですが、梶浦さんから「Magia」をもらったときはどんな印象を持ちましたか?
Keiko:私の第一印象は、妖しくってクールな曲だなっていう風に思っていて。そこからレコーディングで声が入ることで、妖しげなところはさらに妖しく、クールな部分はさらに強く……っていう風にレコーディングでは意識しました。
Hikaru:最初はアッパー・チューンだからノリノリの感じなのかなと思ったんですけど、いざ歌ってみると、この独特の世界観を作り上げるにはいつもとは違う歌い方をしなきゃいけないなって思って。……で、こういう歌い方になったんですけど、2人(Wakana、Keiko)には多大な迷惑をかけてしまいました……。
Wakana &Keiko:いやいや!
Hikaru:私は本当に自由に歌わせてもらっちゃったので、途中のハモりなどを含め、苦労をかけたんじゃないかなって思います(苦笑)。
──そうだったんですか?
Keiko:そんなことないんですよ。今Hikaruが言ったように……「Magia」を聴いた時に受ける印象は3人とも同じだったので、どちらかというとHikaruの持っていたイメージと同じ感覚でレコーディングに挑んだんです。ただ苦戦したところと言えば──今回の歌詞は凄くリアルで、誰もが思うことを描いた現実的な歌詞なんです。リアリティがあるからこそ想いは乗せやすかったと思うんですけど、その分それぞれ表現の仕方が変わってくるんですよね。強さと勢いとで訴えかけるように歌っているサビがあったかと思いきや、儚く切なく歌い崩した部分があったり……。なので、最初の自分のイメージ通りにハモりを入れると食い違う部分があったりしたので、そういう時はもう1回聴きなおして確認したりしましたね。同じサビでも“ここでは息を多めに使っているんだな”とか考えながら歌を入れなおして。凄く集中力が必要でした。
Wakana:私の場合は、2人の声を聴いてチェックしながら毎回歌を入れていくんですけど、いつもとは違った歌い方で慣れていない分苦戦はしました。でも、そういうところもしっかり……3人の気持ちを揃えて、想いを込めて、レコーディングは出来たかなと思っています。
── それぞれ苦戦した部分があったんですね。それだけ一言ひとことに込める思いも強かったんだと思います。例えば、前半の歌詞の“確かに一つ壊すだろう”の一行を取ってもそれを感じるというか。 “確かに”と“壊すだろう”で歌い方や言葉のニュアンスが変わってきますもんね。
Hikaru:そうですね。その部分は凄く重要な歌詞でもあったので、悩んだ部分でもあります。
──実際、レコーディングで歌ってみてどうでした?
Wakana:Hikaruの力強い歌声を失わせないように自分も凄く注意して歌いました。私は上ハモ(メインメロディーより上の音程でハモること)で入れさせて頂いたんですけど、ピッタリ寄り添うっていうよりかは無機質な感じで歌っていて。高い声で寄り添うと、どうしても邪魔になってしまうんですよね。だから遠くのほうで鳴っているように声を入れているんですけど、その中で力強さを出すっていうのが難しかったです。
──でも、きちんとその力強さは伝わってきます。女性ならではの強さも宿した楽曲ですし。
Wakana:そうですね。いっぱい迷ったり、考えたりすることって誰でもあることだと思うんですけど……迷いや葛藤も含めてひとりの人間として強く生きていかなきゃいけないっていう思いが歌からも、そしてジャケットからも溢れているように感じていて。特に初回限定盤の目線がそれを表しているように感じていますね。ジャケットの写真では私はちょっと遠くを見ているんですけど、それは“魔法や魔術に憧れる部分を持っているけども、人間は前を向いて歩かなければいけない”というようなことも表現しているジャケットになっているんじゃないかなと。そんなパッケージも含めて、女性3人だからこそ表現できること、Kalafina3人だからこそ表現できることをきちんと詰め込めた作品になったと思います。
──イントロの“梶浦語(造語)”。あの不思議な音感のコーラスが入ることでエキゾチックで多国籍な世界観が曲に彩られるじゃないですか。しかも、曲が始まるとその幻想的な世界が一転、凄くリアリティのある楽曲に変わっていくっていう。あの表現の仕方も正に3人だからこそ表現できるコトのように感じますね。
Keiko:そうなんです! 梶浦さんの作る造語なんですけど、凄く気合いを入れて歌いました(笑)。音楽の前奏って物語のスタートじゃないですか。曲の印象付けになる大切な部分なんですけど、今回のあの部分は凄く重要な部分で。仮歌の状態で梶浦さんの歌われた造語を聴いた時に“凄く妖しい!Wakanaが得意そうだな”と思いました(笑)。
Wakana:私は得意なんですよ。いかに妖しくうねらせるかっていうところに力を込めたんですけど、梶浦さんにも褒めてもらうくらい頑張りました(笑)。あそこはこの歌の序奏の、凄く大事な部分なんです。リアリティのある歌詞にいく前に幻想的な部分を敢えて見せたかったので頑張りました。
Hikaru:私も歌わせてもらったんですけど、“妖しく”歌うのが難しくて……(笑)。
──いやいや、バッチリですよ。これはライヴで聴きたい部分ですね。
Wakana:ぜひ! 生で聴いてもかなり──。
3人:妖しいです!(一同笑)
集計期間 : 11/02/01~11/02/07