今月初旬に九州から近畿にかけての広い範囲で、もやが観測され、中国の工場などから排出された有害な微粒子が原因とみられることが分かりました。調査した国立環境研究所は、ぜんそくなどの症状が悪化するおそれもあるとして、注意を呼びかけています。
国立環境研究所によりますと、今月1日から9日にかけて、九州をはじめ中国・四国・近畿にかけた西日本の広い範囲で、上空にもやがかかり、見通しが悪くなる状態が続きました。国立環境研究所で大気中の汚染物質を調べたところ、もやの原因は硫酸塩を含む有害な微粒子で、中国南部の工場や発電所から排出されたものが飛来したとみられるということです。こうした現象は、例年は3月ごろに見られるということですが、ことしは、今月初旬に冬型の気圧配置が緩んだことが影響し、粒子が例年より早く西風に乗って大陸から飛来した可能性があるということです。西日本のもやは、九州の南部など一部を除いて今は収まっているということですが、今後、再び発生する可能性があるということです。国立環境研究所は「有害な粒子が体内に取り込まれれば、ぜんそくなどが悪化するおそれもあり、呼吸器の疾患を持つ人はできるだけ外出を控えたほうがいい」と呼びかけています。