「WBC世界ミニマム級タイトルマッチ」(11日、神戸ワールド記念ホール)
国内最速記録となるプロ7戦目での世界王座奪取を狙う井岡一翔(井岡)が9日、大阪市内で予備検診を受け、王者オーレドン・シッサマーチャイ(タイ)とともに異常なしと診断された。オーレドンが「7ラウンド以内に倒す」と予告したことに対し、井岡は「逆にそうなる」と“KO宣言返し”。40戦無敗で6度防衛中の王者に、日本のホープが牙をむいた。
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一翔が目の色を変えた。王者が「7ラウンド以内に倒す」と発言したことを聞くと、即座に「逆にそうなる」と断言。「僕は勝ちに徹するが、少ないチャンスを生かせばKOにつながる」と、自信たっぷりに言い切った。
検診の結果、王者を身長で4・1センチ、リーチで7センチ上回った。本来のLフライ級から1階級下げたこともあり、体格では優位に立っている。「(数値は)今まで気にしたことがない。リングの上で向き合って感じること」。紙の上の数字とばかり、受け流した。
初めての世界挑戦とは思えない、落ち着き払った振る舞いだった。「サラスのトレーニングを受けて、常に世界に近い環境で練習できた。それが自信になっているから、初めてでも不安はない」と言う。過去に9人を世界王者に導いたイスマエル・サラス氏に昨年から師事しており、今世界戦前は約1カ月間、みっちりと指導を受けた。「チャンピオンになる『気持ち』を学んだ」と打ち明ける表情には、風格さえ漂っている。
最高の“お手本”が目の前にいる。同じ「サラス門下生」で、一翔が「一番好きなボクサー」と話すWBA・IBF世界フェザー級王者ユーリオルキス・ガンボア(キューバ)が4日に来日し、一緒に井岡ジムで練習している。スパーリングを初見学し「すごい。レベルが違いすぎて参考にならない」と舌を巻いた。スーパースターの実力を目の当たりにし、大きな刺激を受けた。
師匠と兄弟子から帝王学を学んだ井岡に、恐れるものは何もない。「複数階級(制覇)も狙っている。ここからがボクシング人生の始まり」。日本ボクシング界の歴史が、神戸から動きだす。
平野がエール「一翔くんらしく頑張って」/40戦無敗の王者オーレドンは絶対の自信/叔父・弘樹会長「前半勝負間違いない」/一翔、チーム井岡で世界王座奪取だ!/井岡の母校から“大応援団”駆けつける
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