【笹森文彦が解説】
小向美奈子容疑者が再び覚せい剤に手を出した。昨年は、タレント田代まさし被告が4度目の逮捕。俳優清水健太郎は5度目の逮捕で、懲役1年10月の実刑判決を言い渡された。だれもが「2度と過ちを犯しません」と誓いながら、繰り返す。覚せい剤の恐ろしさだけでなく、芸能人特有の甘さがそこにはある。
薬物依存症の民間リハビリ施設に「ダルク(DARC)」がある。ドラッグ(薬物)のD、アディクション(依存症)のA、リハビリテーション(治療的訓練)のRに、センター(施設)のCを組み合わせた名称で、全国にある。同じような境遇の仲間と薬物からの脱却に努める。大きな成果を挙げているが、芸能人はなかなか足を運べない。スポットライトを浴びた人特有の体面が、二の足を踏ませているという。
芸能人は薬物事件を起こしても“金のなる木”として誘われ、容易に復帰する。かつて、人気歌手が薬物で逮捕された。芸名を替えるなど心機一転で努力し、20年近くを要して紅白歌合戦に復帰した。こうした努力による復活例もあるが、一般人はもちろんプロスポーツ選手でも解雇され、家庭は崩壊し、人生は閉ざされているだろう。(編集委員)
[2011年2月10日9時39分 紙面から]
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