■さらばチョコエッグ(2002 2/4)
-フルタ製菓と海洋堂関係終了のお知らせとおわび -

■1999年9月のチョコエッグ日本の動物コレクション第一弾発売より続いておりました(株)海洋堂(以下海洋堂)とフルタ製菓(株)(以下フルタ製菓)の関係が終了することになり、ここにその経緯と現状を報告、チョコエッグフィギュアを海洋堂が提供できなくなったことをお詫びさせていただきます。

■昨年11月にこれまで海洋堂とフルタ製菓との交渉窓口であり責任者として、チョコエッグフィギュアの開発管理を担当されてきた、フルタ製菓企画部部長であり常務取締役の古田豊彦氏が、フルタ製菓を退社、新会社(株)エフトイズコンフェクト(以下エフトイズ)を立ち上げ、これまでフルタ製菓内にあった企画部門担当の外部担当会社としてフルタ製菓と業務提携し、フルタ製菓商品の開発を行うことになったと連絡がありました。 ところがその後、12月初旬にフルタ製菓より、エフトイズの古田豊彦氏はフルタ製菓内の身内のトラブルにより退社した人間であるので、これまで進めてきた「チョコエッグ」や「ワールドタンクミュージアム」のフィギュアはエフトイズを一切排除して、フルタ製菓と直接取引するようにとの話がありました。 海洋堂としては「正直いって、フルタ製菓の身内のトラブルなど知ったことではない。大事なのは今後もチョコエッグがこれまで通 りのクオリティをもって発売することであり、海洋堂や全国のチョコエッグユーザーの迷惑にならないように、フルタ製菓とエフトイズの間で解決してほしい」と述べました。

■海洋堂とフルタ製菓のコラボレーションの代表作であるチョコエッグが特別 な存在に成り得たのは、メーカー側の努力だけではない多くの力が働いています。全国の熱心なチョコエッグファンの応援、インターネットの普及などの条件、様々なタイミングのよさ等、多くの偶然と幸運の要素が重なり合ってできた商品であり、もし時間を巻き戻すことができても、同じ状況を再現できるか、私たちにも自信がありません。 海洋堂としてはこの『チョコエッグ』(商標としてのチョコエッグではなく、さまざまな現象まで含めたチョコエッグ)を大切にしたい。そのためには企画開発力をまったく持たない現状のフルタ製菓だけでも、チョコエッグの商標を使うことができないエフトイズだけでも、現実的にかなえることはできません。片翼を欠けば墜落するしかないのです。

■ふたつに分裂する前のフルタ製菓という飛行機の性能にさえ、海洋堂は疑問を持っていました。 海洋堂に無断でディズニーシリーズをチョコエッグに加えたことをはじめとして、パルコ限定ヒメネズミやシークレットアイテムの事前流出、門外不出の生産用原型がフルタ社内より流出しショップで販売されていた件、レッドデータアニマルズフィギュアのバッタもん屋や飲料メーカーへの大量 流出、チョコエッグクラシックの販売方法や時期のなんの説明もないままのたび重なる変更、その他私たちのテンションを下げ、信用を失う行為を重ねており、今回のごたごたは、もはや我慢できぬ レベルのものでした。 現在発売中の商品も、契約が切れ次第、フルタ製菓の販売ラインから撤退する予定でした。 ただ、チョコエッグシリーズを失うことは、ここまでチョコエッグを育ててくれた数限りないエンドユーザーを裏切る行為になると考え、この商品についてだけは、なんとかこれまでのラインを継続させるべく努力をしました。すぐにテーブルをひっくりかえす海洋堂としては、まったく異例のことです。もちろん莫大な売り上げをあげる商品へ、企業としての未練があることも否定はしません。でも、私たちがこれほど我慢し続けてきたのは、チョコエッグという商品をゼロから育て上げたという誇りと愛着、そして応援してくれた多くの関係者、無数のエンドユーザーを裏切れないというギリギリの気持ちからであったことをすべての名誉をかけて明言したいと思います。

■チョコエッグの商標を持つフルタ製菓が食玩開発・製造のノウハウを持つエフトイズを排斥するのは、もはや企業間の関係以上に血族企業内の感情的な確執があるということでした。しかし、『チョコエッグ』をこれまでどおり続けていくために、この商品についてだけでも手を組んで発売するようにと、両者をまじえ12月下旬より1月中旬まで(海洋堂らしくないことですが)調整を続けました。そうしなければ、現在のフィギュアのクオリティを維持することも、ましてこれまでのように進化していくことも不可能です。第一、そんなチョコエッグは、ファンが望んでいる『チョコエッグ』ではあり得ません。エフトイズ側は無報酬で窓口になることさえ提案しましたが、フルタ製菓は断固拒否という姿勢をかえず、とにかく海洋堂はフルタ製菓とだけ取引しろの一点張りでした。海洋堂が示したぎりぎりいっぱいの願いも聞き入れてもらえず、結果 的に2002年1月21日、フルタ製菓は海洋堂との決別を選択しました。

■交渉の間フルタ製菓側は「海洋堂の功績を認めている」と言い続けましたが、その後、何人かのフリー原型作家たちから、未だ交渉が続いていた1月初旬の時点で、既にフルタ製菓よりチョコエッグ等の原型制作発注の依頼がなされていたことを聞くに及び、(チョコエッグに直接関わっていた企画部全員が抜けてエフトイズに移ってしまった)現状のフルタ製菓側には海洋堂の存在など、簡単に換えがきく程度のものとしか(あるいは下請けのくせに小うるさい邪魔者としか)写 っていなかったのだと感じています。

■『チョコエッグ』をまもれなかったことを、これまで支持していただいた皆様に深くお詫びいたします。

■今回このような報告をさせていただいたのは、海洋堂がフルタ製菓と条件闘争をして出ていったとか、他メーカーから好条件で引き抜かれたといった流言から、私たちと『チョコエッグ』(これまで築き上げてきた)の名誉を守るためです。

■海洋堂にはこれまで作り続けてきた「日本の動物1−6弾」「ペット動物1−3弾」などの作品があります。これは海洋堂の財産です。フルタ製菓より出せない以上、私たちは、これらの動物の行き先を探さなければなりません。チョコエッグという皆に親しまれた名前を失い、今回のごたごたに巻き込まれた動物たちが、以前のような大ヒットをすることはもはやないでしょう。『チョコエッグ』現象は海洋堂だけの力で成されたものではないと、私たち自身がよく知っています。それでも、これらの動物に魅力を感じ、いっしょに新たな地平を一から拓いていくことに魅力を感じていただけるなら、私たちとパートナーとなってもらえる企業を広く募集します。小さなカプセルに入れるために作った動物たちですから、できれば卵型チョコレートという形で復活させてやりたいと思っています。お菓子というカテゴリー以外でも、よりおもしろく生かしていただけるアイデアがあれば、お聞きしたいと考えています。ただし、一度ヒットしたからといって、二度目があるとはとてもいえません。正直、こういう事情である以上、むしろリスクを背負い込むことになるかもしれないことを充分ご考慮ください。もちろん、私たちもすでに行動を開始しており、すでにおつきあいのあるいくつかの企業に打診をはじめています。この文章を目に留めていただいた時点で既にパートナーを決めている可能性がありますことを、ご了承ください。

2002年2月3日
株式会社海洋堂 専務取締役 宮脇修一

※アニマテイルズ(動物フィギュア)とワールドタンクミュージアムはこの後タカラとの提携が決まり、展開中

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