日米防衛 9条が障害 米議会調査局

改憲の期待示唆

2011年2月10日 09時40分この記事をつぶやくこのエントリーを含むはてなブックマークLivedoorクリップに投稿deliciousに投稿Yahoo!ブックマークに登録
(4時間47分前に更新)

 【平安名純代・米国駐在契約記者】米議会調査局が昨年10月にまとめた報告書「日米関係=米議会にとっての諸課題」で、日本の憲法9条と集団的自衛権の行使の否定が日米共同防衛の障害となっていると指摘していることが分かった。

 民主党代表選後に発行された同報告書は、当時の日本の政治情勢や経済など7分野の状況や問題点を分析。軍事関係の分野では米軍普天間飛行場の移設問題など5項目と並び「憲法9条の制約」と題し、「米国が起草した日本の憲法は、第9条の現行解釈が日本に『集団的自衛』への関与を禁じているため、より緊密な日米防衛協力への障害となっている」と指摘している。

 「集団的自衛」について、「第三国に対する米国との戦闘協力」と定義付けた上で、「憲法9条は日本の『国権の発動』としての戦争を違法とみなし、『交戦権』を禁止している」と憲法9条が日米間のより緊密な防衛協力の障害となっていると論じている。

 その上で「かつて日本の世論は自衛隊に対する憲法上の制限を強く支持していたが、そうした意見は近年になってかなり弱まったものの、憲法9条の改正については現政権内でも意見が分かれており、近い将来に改憲論議が始まる見通しは少ない」と予測。「1991年以降、日本は自衛隊が非戦闘地域における国連治安維持活動やイラクにおける米国主導の人道復興支援活動への参加は認めている」とした。

 同報告書は、「国防当局者らが日米安全保障条約の50周年記念としてこうした制約の見直しを希望していた」などと米側の改憲への期待を示唆した。

 また、鳩山前政権が普天間問題で県外移設を検討するなど日米同盟に懸念が生じたため先送りされた経過を説明し、集団的自衛権の否定が日米同盟の足かせとなっているとの疑問を呈している。

 同局作成の報告書は、米議員らが法案審議の際に資料として用いるもので、議員への影響力が強い。

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