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北朝鮮が米に対話を打診 食糧支援も要請 1月に中国で

2011年2月8日22時58分

 【ソウル=牧野愛博】米国のボズワース北朝鮮政策特別代表が1月5、6両日に訪中した際、北朝鮮が米朝対話を打診していたことがわかった。複数の6者協議筋が明らかにした。米国は断ったが、北朝鮮は3月に欧州での民間レベルの対話も模索するなど、米国との関係改善に強い意欲をみせているという。

 米朝対話を急ぐ背景には、金正日(キム・ジョンイル)体制の強化や後継体制の整備などの思惑がありそうだ。韓国政府は、南北関係の改善を米朝対話や6者協議などの前提としており、北朝鮮のこうした動きに警戒感を強めている。

 北朝鮮はボズワース氏の北京入りに合わせ、金桂寛(キム・ゲグァン)第1外務次官を派遣して会談したい考えを米側に打診した。米側はボズワース氏の滞在時間が短いことを理由に会談を断ったという。

 別の協議筋によれば、北朝鮮は米国のシンクタンクの仲介で3月末ごろに欧州で非公式の米朝対話も模索。米国務省は日韓など関係国に、この対話への関与を否定する考えを伝えたが、北朝鮮は米国の元政府当局者らの出席を希望。実現すれば、北朝鮮側は外務省の李根(リ・グン)米州局長らを派遣するとみられる。

 さらに北朝鮮は米国に対して、中断している食糧支援の再開を求めた。米国のスタインバーグ国務副長官は1月26日の韓国政府との協議でこうした状況を説明したが、支援の可否には言及しなかった。

 韓国政府は北朝鮮の米国への対話攻勢に不快感を示している。北朝鮮による米朝対話の打診について、南北関係が改善の兆しを見せない現状では支持できない考えを非公式に米国に伝えた。

 韓国は北朝鮮の昨年の食糧生産高が前年を上回り、急速に悪化した状況にないとも分析。国民に「強盛大国の大門を開く」と約束した2012年に向け、金正日総書記や三男の金正恩(キム・ジョンウン)氏の業績を作る狙いがあるとみている。

 韓国と北朝鮮は、8日午前10時から板門店で軍事実務者接触を予定している。

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