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【社会】

岡本倶楽部事件 設立翌年から赤字

2011年2月10日 朝刊

 老舗温泉ホテルを舞台にした岡本倶楽部による詐欺事件で、運営会社「オー・エム・シー(OMC)」が設立翌年の二〇〇七年九月期に約二十二億五千万円の赤字を計上し、〇九年九月には約百五十億円の債務超過に陥っていたことが、同社破産管財人の調査報告書などで分かった。

 岡本倶楽部の元オーナー大東正博容疑者(59)らは〇九年九月以降も会員の勧誘を続けており、警視庁と静岡県警などの合同捜査本部は、同容疑者らが当初から会員の預託金を返還できないと認識していたとみている。

 合同捜査本部によると、大東容疑者は「組織的詐欺に当たる行為は一切していない」と供述している。

 報告書などによると、OMCは〇六年十月設立。大東容疑者が会長だった「岡本ホテルシステムズ」から業務を引き継ぎ、会員から集めた金を管理していた。しかし、会員からの「施設使用料」などの収入は、〇七年九月に約七億六千万円。一方、従業員の給料などの支出は三十億円を超え、約二十二億五千万円の赤字だった。

 赤字は〇八年で約十六億円、〇九年は約三十三億円に膨らんだ。〇九年九月時点でホテルなど資産の総額は約四十五億円だったが、会員に返還すべき「施設利用預託金」は四倍以上の約百九十億円に上り、解約した会員への返還も滞っていた。

 捜査関係者などによると、大東容疑者らは〇五年四月以降、会員約八千人から二百数十億円を集金。このうち約四十億円を同容疑者が私的に流用し、数億円が指定暴力団山口組の複数の関係者に貸付金名目で渡った。OMCは昨年六月、破産手続きを開始したが、預金口座の残高はわずか約五千円だった。

 合同捜査本部は九日、組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)容疑で大東容疑者ら十一人を送検した。

 

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