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自衛隊は直ちに撤兵せよ                 かけはし2009.6.1号

陸自・空自も「海賊」派兵

P3C哨戒機・陸自中央即応連隊のジプチ派兵に反対する


 ソマリアの「海賊」対策に派兵されたのは海上自衛隊だけではない。五月十五日、浜田防衛相は海自のP3C哨戒機二機に加えて、宇都宮駐屯地の陸自中央即応連隊に対しても派遣を命じた。空自もC130輸送機による物資・人員の輸送を計画中とされる。まだ「海賊」対処新法案も成立していないうちから、陸海空一体の軍事作戦が遠くソマリア沖で展開されることになる。
 P3Cが配備されることになるのはソマリアの隣国でアデンと紅海を結ぶ海域に面するジプチだ。P3Cは現地で警戒監視を実施することになるが、その情報は同海域で「対テロ」作戦に従事する米軍にも提供されることを政府は認めている。陸自の中央即応連隊は、このP3C機を「防護」するなどの任務につくことになる。
 陸自の中央即応連隊は自衛隊の海外派兵の先遣隊として派遣される「最精鋭」部隊で二〇〇八年三月に発足したばかり。海外での「対テロ」作戦の中枢として米海兵隊と同様な任務を持つ殴りこみ部隊だ。五月十六日に陸自宇都宮駐屯地で行われた約五十人の部隊の「編成完結式」で、火箱芳文陸上幕僚長は「他国駐留軍のノウハウを陸自に取り込むことも可能となり、国際活動能力を向上してほしい」と訓示した。今回の派兵の目標が海外での実戦能力の強化にあることを率直に表明した言葉である。
 「領海侵犯」などの行為への対処を想定した「海上警備活動」を脱法的に適用した海自のソマリア「海賊」対処派兵では、すでに今回の活動の対象である「日本関連船舶」ではない外国船への防衛活動を数度にわたって展開し、「海賊」と想定された小型船を「大音響発生装置」で追い払うなどの事実上の戦闘行為を行っており、さらに「不審船」に護衛艦搭載のヘリを出動させているという。ソマリアの首都モガディシオ北部では暫定政府と反政府勢力との戦闘で五月十日からの三日間で百十三人が死亡した。問題は「海賊」だけではなく、大国の介入が加速させた内戦なのだ。自衛隊の「海賊」対処派兵は、この内戦への武力による関与を意味する。

5・18反安保実
が申し入れ行動

 新しい反安保行動をつくる実行委員会は、陸自中央即応連隊の先遣隊がジプチに向けて出発した五月十八日、防衛省への申し入れを行い、P3C哨戒機や陸自中央即応連隊の派兵中止、「海賊」対処新法案の廃案、海自のソマリア沖・アデン湾、そしてインド洋からの即時撤退などを訴えた。反対の意思を明示する活動を可能なかぎり広げていく取り組みがいっそう重要になっている。「海賊」対処派兵法案は軍隊と検察を限りなく一体化する「対テロ」戦争に対応したものであり、国会でのチェックを外し、「武力行使」の規制を取り払うものだ。派兵恒久法の先取りである「海賊」法案の危険性を多くの人々に訴えよう。   (K)




入管法改悪反対! みど〜すじパレード
外国人を「犯罪者」視するな
平和に共生できる社会を


【大阪】五月九日、大阪新町北公園から御堂筋を南下し、なんば高島屋前までの約二キロメートルを、入管法改悪に反対するデモが行われ、百人を超える市民が参加した。
主催はカトリック大阪大司教区社会活動センター・シナピスで、在留「管理」制度に反対する在日中国人住民の会、在日韓国基督教会館、外登法問題ととり組む関西キリスト教連絡協議会、大阪宗教者平和協議会、RINK(すべての外国人労働者とその家族の人権を守る関西ネットワーク)が賛同した。

入管法による
一元的管理体制

 政府は今年三月三日、「住民基本台帳法」(住基法)改定案を、六日には「外国人登録法」(外登法)の廃止と「出入国管理及び難民認定法」(入管法)改定案、および「日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法」(入管特例法)改定案を閣議決定し国会に上程した。その内容は、これまでの「入管法」と「外登法」による二元的管理をやめ、入管法だけの一元的な管理に変更するものだ。
 そして、「在日外国人」を三つに分類する。@特別永住者(在日コリアンなど旧植民地出身者とその子孫)A中長期在留者(特別永住者や短期滞在者を除く)B非正規滞在者(オーバーステイなど)。@には入管特例法によって特別永住者証明書を市町村を通して交付Aには入管法によって「在留カード」を交付Bには在留カードを交付しない。住民基本台帳は、@とAを対象とする。

ICチップ付在
留カードの携帯

 在留カードには顔写真・氏名・生年月日・性別・国籍・住居地・在留資格と期間・許可の種類・就労制限の有無等詳しいプライバシーが記載され、ICチップにも記載される。この記載については中長期在留者が入管局・市町村に届け出る。虚偽の届け出に対しては刑事罰を科す。記載内容に変更が生じるたびごとに届け出る。中長期在留者が所属する機関(研究所・学校・企業・宗教団体・公共団体など)に対しては届け出の義務を課す。中長期在留者が住居地を変更したときその届け出が遅延すると在留資格を取り消すことができる。配偶者の身分を有する者としての活動を継続して三カ月以上行わない場合も在留資格を取り消しの対象になる。在留カードの常時携帯が義務づけられる。
 特別永住者証明書には顔写真のほか、国籍(地域)・住居地・生年月日等を記載し、ICチップにも記載する。記載事項が変更したら届け出る。届け出遅延や虚偽届け出には刑事罰が科せられる。
外国人の届け出の窓口となる市町村の自治事務が、すべて国の外国人管理にリンクしそれに規定される。などなど。

外国籍住民に
過酷な義務規定

 このように在留者のプライバシーを事細かに把握し徹底管理をねらっている。市民社会が外国人を監視するようにさせ、外国籍住民には過酷な義務規定を定め刑事罰を科すことによって過度の負担を強いている。また特別永住者や中長期在留者以外の非正規滞在者をより一層管理し排除する意図を含んでいる。この度の入管法改悪案は指紋押捺制度が廃止されるに至った経過に逆行するものである。在留カードや 特別永住者証明書への記載義務は日本人にはない。日本人でも外国人在留者にも人権は等しく認められるべきだ。

在日外国人の
人権保護法を

 新町北公園からデモに出発する前に短い集会がもたれ、林神父(シナピスセンター長)があいさつをし、呼びかけに賛同した団体からアピールがあった。
 徐さん(在留「管理」制度に反対する在日中国人住民の会)は、「問題をマスコミも取り上げないので、焦っていて、市役所や区役所の前でビラまきしている。在日中国人は百五十年の歴史があるが、いまだに中長期在留者のところに入っている。永住の永と長期の長は違う。百五十年も日本にいる中国人がなぜ在留カードを持たされるのか。私たち二世三世四世で永住を取った者が四十九万人いるが、その子や孫がこれからもこのような人権無視を被る。私は一般永住者だが、特別永住者の場合は、日本に責任があるにもかかわらず、戦後六十五年たった今になってもまだこのような扱いを受けている。この仕打ちは何だと言いたい」と怒りのアピールをした。
 在日韓国基督教会館・外登法問題ととり組む関西キリスト教連絡協議会の代表は、「一九八五年外国人登録法による指紋押捺を拒否して、大変な弾圧を受けながらもこれを撤廃させた。当時法務省と交渉し、指紋押捺は外国人を犯罪者扱いするものだと問うたとき、公正な管理のためだと理由にならないことを言った。今回の改正案はテロ対策を名目に政府が公然と在日外国人を犯罪者扱いすると宣言したものだ。日本の管理制度は国連の人権委員会等から改善を何度も勧告されているにもかかわらず、改善するどころか管理を強化しようとしている。日本にある差別的な法をあらため、日本に住む外国人の人権保護法をつくるべきだ」と訴えた。 (T・T)




「裁判員制度はいらない! 大運動」
「私の拒否からみんなの拒否」へ!
裁判員制度実施に抗議し記者会見


 五月二十一日、「裁判員制度はいらない!大運動」は、東京・弁護士会館で裁判員制度実施強行に抗議する記者会見と「裁判員制度実施に抗議する声明」を明らかにした。
 司会は事務局の川村理弁護士で声明が読み上げられた。(別掲)
 次に呼びかけ人の今井亮一さん(交通ジャーナリスト)が発言し、「なぜ罰則付で裁判員に強制動員しようとするのか。裁判は平日開廷しているから傍聴することも難しい。傍聴したこともない人がいきなり裁判員をやらされる。裁判官が国民の場に降りてきて常識を掴んでほしいと言いたい。国民にの権利みたいなことを言うが、罰則で強制されることは権利ではない」と批判した。
 裁判員候補通知を受け取りを拒否し、すでに昨年十二月二十日に記者会見を行ってきた井上実さんは、「制度は憲法違反であり、人権を無視している。私は、皆さんと力を合わせて制度廃止に向けて活動していきたい。裁判員は国民の義務ではない。憲法に規定はない。新たな苦しみを強制する制度はやめてほしい。人を裁きたくありません。死刑に処し、命を奪い、一生監獄に閉じこめるような決定をする裁判員はやりたくありません。呼び出し状が来ても断る」と宣言した。
 呼びかけ人の高山俊吉弁護士は、司法改革と称する裁判員制度が空回りしていることを厳しく批判し、「不安に陥っているのは、最高裁、法務省、日弁連執行部だ。生きさせろという時代状況、自衛隊のソマリア派兵下で制度実施を強行した。国民は明日の生活もどうなるかわからないのに裁判所に来いというのかと見ぬいている。時代を隠蔽しているのが裁判員制度だ。私の拒否からみんなの拒否へ、制度を廃止していく」と力強く訴えた。
 最後に事務局の武内更一弁護士は、大運道の今後の方針を報告した。  (Y)

裁判員制度実施に抗議する声明

2009年5月21日

裁判員制度はいらない!大運動 呼びかけ人 

足立 昌勝(関東学院大教授)
雨宮 処凛(作家)
嵐山 光三郎(作家)
池内 ひろ美(家族問題評論家)
今井 亮一(交通ジャーナリスト)
内田 博文(九州大法学研究員教授)
蛭子 能収(漫画家)
大分 哲照(真宗本願寺派福岡時対協会長)                     
織田 信夫(弁護士)
玄侑 宗久(作家・臨済宗僧侶)
崔  洋一(映画監督)
斎藤 貴男(ジャーナリスト)
新藤 宗幸(千葉大教授)
高山 俊吉(弁護士)
西野 瑠美子(ルポライター)
山口 孝(明治大教授)
若田 泰(京都民医連中央病院医師)

 本日、裁判員制度の実施が強行されました。
 この制度に対する現段階における世論にあらためて注目してください。

 先日5月3日の新聞は、「裁判員裁判に参加したくない」が過去最高の79・2%になり、「裁判員制度の導入に反対」が62%と「導入賛成」の34%の2倍近くになったことを報じました(読売)。5月10日のテレビも、「参加したくない」が84・4%に達したと報道しています(日本テレビ系)。
 これが、政府・最高裁が野党、日弁連、マスコミを巻き込み、莫大な血税をつぎ込み5年間の歳月をかけて展開した宣伝に対し、国民が下した「最後の審判」です。国民は、裁判員制度が「市民の司法参加」ではなく、被告人を処罰するという国家作用への強制動員であることを見抜いています。そして、わずか数日で重大な刑事事件を審理し、有罪か無罪かを判断し、死刑をも含む刑罰を決定することの無謀さを危惧しています。

 裁判員裁判が日本国憲法の予定するまともな裁判になる見通しはないこと、制度が発足前から完全に破綻していることは、いまや誰の目にも明らかです。
 裁判員法附則2条1項は、裁判員制度についての国民の理解と関心を深め、国民が主体的に参加するための措置を講じることを政府及び最高裁判所に義務付けています。
 また、裁判員法成立時(2004年)に、政府と最高裁に対し、衆院は、「国民が自ら進んで裁判員として刑事裁判に参加してもらえるよう、裁判員制度の趣旨やその具体的内容の周知のための活動を十分に行え」と、参院は、「制度の円滑な実施のため、国民の意見をも聴きつつ、制度の周知活動の実施を含め、本法施行前における準備を十分行え」と、それぞれ付帯決議をしているのです。
 法律自身と国会決議が政府・最高裁に強く要求した「国民の理解と関心」の到達状況を見れば、当局は民意に謙虚に従い、実施を見合わせる以外の結論はなかったはずです。ことを最終的に決するのはあくまでも主権者たる国民です。主人公の意思を無視して強引に始めても、国民が手を携えて非協力を表明すれば、この制度は直ちに崩壊します。
 私たちは、暴挙に突入した政府・最高裁に対し、あらためて本日、「裁判員制度を廃止しよう」の闘争宣言を発し、「裁判員制度はいらない!大運動」を全国でさらに力強く展開します。

 裁判員に予定されている国民、裁判員に裁かれたくない被告人、裁判報道を全面的に規制されるマスコミ、この国の司法を憂う弁護士や裁判官や検察官。そのみんなが裁判員制度の廃止を要求して立ち上がることを呼びかけます。この国の司法が自滅の道に向かうことを天下に宣言した時はすなわち、国民がこの国の司法をまともなものにする行動に決起する時です。
 私たちはすべての皆さんに訴えます。この壮大な行動に、力を合わせて取り組みましょう。その行動こそ本当の「市民の司法参加」です。
                                   


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