広島県内の公営住宅で今月に入り、暴力団組員の入居者がいなくなったことが9日、広島県警の調べで分かった。県、市町が条例を整備し、公営住宅から暴力団組員を排除する「広島方式」を2004年度に本格導入して以降、初めて「入居ゼロ」となった。(暴力団取材班)
▽延べ39人「阻止」
県警捜査4課によると、広島市営住宅では10年12月、指定暴力団共政会系の70代の組長が市の勧告に従い、住民票を移した。今年1月には、尾道市営住宅から指定暴力団侠道会系の30代の組員が退去。県内の公営住宅で、県警が把握する組員の入居がゼロとなった。
県や広島市は04年6月、公営住宅から暴力団組員を排除するための改正条例を施行。07年6月までに県内全23市町で同様の条例が整備された。県警は、県と市町に積極的に情報を通知。条例に基づいて退去させたり入居を認めなかったりした組員は延べ39人に上る。
さらに09年10月には、広島市が退去勧告に応じない共政会系組員を相手に起こした訴訟で、市営住宅の明け渡しを命じた一審判決が最高裁で確定。取り組みを後押ししている。
一方、10年2月には、共政会系組員が県営住宅で暮らしながら、女性との同居で発覚を免れていたケースが明らかになった。県は新規入居者のすべてで県警に照会している。しかし、同居人については申請がなければ、県警からの通報に頼るしかないという。
県警捜査4課は「同居人を含め、入居時のチェックを徹底する必要がある。県、市町と緊密に連携し、実態把握に努める」としている。
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