北朝鮮の特殊部隊、1万5000人が同時浸透可能(下)

1人で15人と戦う「人間兵器」養成

 シャープ司令官が言及した特殊作戦専門兵力6万人は「爆風軍団」と呼ばれる第11軍団、海上・上空から浸透する海上、空軍狙撃旅団、航空陸戦団、偵察旅団などで構成されている。これら6万人の特殊部隊員は人間の限界を超える過酷な練を受けているとされる。

 1996年の江陵で座礁した潜水艦事件で身柄を拘束されたイ・グァンス氏は「1人で3-15人の敵と戦って勝つ訓練を1日に3時間以上、射撃は浸透前に3000回以上行う」と証言した。北朝鮮の特殊部隊は、地上の場合、トンネルや徒歩、海上からはホバークラフト(空気浮揚艇)約130隻など上陸艦艇約260隻、空中からは旧型ながら低空で浸透可能で、レーダーに感知されにくいAN2輸送機約170機、ヘリコプター約130機などで浸透してくると予想される。韓国軍当局は、同時に浸透可能な戦力の最大規模は海上1万人、上空約5000人とみている。

 「人間兵器」の特殊部隊員が韓国側に浸透してきた場合、韓国側に及ぶ犠牲は避けられない。96年の江陵潜水艦座礁事件で、北朝鮮工作員と乗組員26人を掃討する際に投入された韓国側の軍、警察はおよそ150万人に達した。

 北朝鮮が多数のホバークラフトやAN2で同時多発的に浸透してきた場合、それに対応する韓国軍の能力にも限界がある。

 韓国軍の特殊部隊は、陸軍特殊戦司令部の約1万人をはじめ、サムホジュエリー号救出作戦で活躍した海軍特殊戦旅団(UDT/SEAL)、空軍空挺統制司令部、海兵隊特殊捜索隊などを含め、2万人に満たない規模だ。北朝鮮の特殊部隊と比べ、10対1で劣勢ということになる。このため、在韓米軍の偵察・迅速対応能力なしでは、北朝鮮の特殊部隊に無策のまま攻撃されるとの懸念もある。

ユ・ヨンウォン軍事専門記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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