2011年1月6日 20時52分 更新:1月7日 1時46分
世界最大の家電見本市「コンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)」が6日(日本時間7日未明)、米国・ラスベガスで開幕する。今回のショーでは、昨年米アップルが発売した「iPad(アイパッド)」に対抗する、画面を触って操作するタッチパネル式の「タブレット」と呼ばれる多機能携帯端末の紹介が相次ぎ、100種類以上が出そろうと見られており、本格的な普及にも弾みがつきそうだ。3D(三次元)やインターネットへの対応を進化させた薄型テレビも各社が注力しており、顧客獲得競争も激しさを増しそうだ。【浜中慎哉】
「電子書籍端末や音楽、映像の配信が生活の一部となっている米国で、新たなデジタルライフスタイルを提案する」
シャープの高橋興三米州本部長はCES開幕に先立つ5日午後(現地時間)、現地の会見で、昨年12月に日本で発売した多機能携帯端末「ガラパゴス」を、年内に米国で発売することを明らかにした。画面の大きさなど詳細は未公表だが、映画など幅広いコンテンツを楽しめるようにする。
「iPad」で世界的な人気に火がついたタブレット端末は今後需要の急拡大が見込まれる。米調査会社ガートナーによると、10年に2099万台と見込まれる世界市場は13年に1億5415万台に急伸し、同年のデスクトップパソコン(PC、1億6121万台)に肉薄する。携帯電話とパソコンの機能を併せ持ちながら、パソコンより小さく使い勝手が良いため幅広い支持を集めている。
各社のタブレット端末市場への参入計画は目白押しだ。パナソニックはCES会場で5日、電子書籍に対応した「ビエラ・タブレット」を年内に世界で発売すると発表した。インターネット経由でテレビ番組の映像を端末で視聴できるなど、テレビとの連動性を強めたのが特徴だ。画面サイズは4型、7型、10型の3種類。
また、NECは7型画面が二つある端末を発表したほか、富士通はカメラ付きの端末を今春に世界展開する。東芝は米グーグルの基本ソフト(OS)「アンドロイド」搭載の端末と、米マイクロソフトの「ウィンドウズ」搭載の端末をそれぞれ投入する。ソニーは電子書籍専用端末「リーダー」とは別のタブレット端末の開発を進めている。韓国のサムスン電子はスライド式キーボードが10型の画面裏に、格納される新製品をラインアップに加えるなど、韓国勢も対応に余念がない。
MM総研の通信アナリスト、横田英明氏は「電子書籍市場の本格化が見込まれる今年、タブレット端末は各社にとって大きなビジネスチャンスだが、競争も激化するため差別化も求められる」と指摘する。
3D対応テレビは10年が「元年」と呼ばれたが、ソフト不足などからメーカー側の思惑ほど普及が進んでいない。このため、今回はより楽しめるような工夫が目立つ。
専用眼鏡なしで見られるタイプで先行するのは東芝。年内に世界各国で、40型以上の大型の3Dテレビを発売すると発表。CESでは、65型と56型の大型テレビを展示する。ソニーも、56型と46型の「眼鏡なし」の3Dテレビを展示する。
画面サイズも増やす。パナソニックは、従来のプラズマに加え液晶でも32型と37型の3Dテレビを発売する。シャープは今年5月、3Dではないが、70型の大型テレビを北米に投入する。
「個人が3Dのコンテンツを作れるようにすることで、さらに3D(テレビなど)を普及させたい」。ソニーのハワード・ストリンガー会長は5日、現地の会見で、4月に米国で3D対応のビデオカメラ「ハンディカム」を発売する狙いをこう述べ、テレビを含む3D関連商品市場を拡大させたい考えを示した。
一方、ソニー、東芝など国内勢のほかLG電子などの韓国勢も、インターネットに対応したテレビを展示する。グーグルと共同開発したネット対応テレビを昨年10月に米国で発売したソニーが先行している分野だが、ネット経由で動画を楽しむ人が増えていることを背景に各社が競っているのも今回の特徴だ。