エストニア:財務相「ユーロ効果大きく」 17番目に加盟

2011年1月5日 21時14分 更新:1月6日 2時13分

「ユーロ導入の効果は大きく、移行が順調に進んだことを喜んでいる」と語るエストニアのリギ財務相=エストニア財務省で2011年1月4日、会川晴之撮影
「ユーロ導入の効果は大きく、移行が順調に進んだことを喜んでいる」と語るエストニアのリギ財務相=エストニア財務省で2011年1月4日、会川晴之撮影

 【タリン会川晴之】バルト海に面した小国・エストニアが1日、旧ソ連圏としては初めて欧州共通通貨・ユーロを導入、17番目の加盟国となった。リギ財務相に単独インタビューし、導入の背景や、ユーロ危機への対応策を聞いた。

 --ユーロ危機の中、導入に踏み切った背景は?

 ◆エストニアは1992年に独自通貨クローンを採用して以後、ドイツ・マルク(その後はユーロ)と交換比率を一定に保つペッグ制度を続けてきた。ユーロ導入による経済的混乱は限定的で、逆にユーロ導入により、国際社会での知名度や信頼性が向上し、海外からの投資が増大する効果に期待している。

 --ポーランドやチェコなど東欧諸国の中には、ユーロの早期導入をためらう国が相次いでいます。

 ◆欧州各国がユーロを採用している効果は大きい。もし現在も各国が独自通貨を使用していれば、リーマン・ショック後の経済危機で、通貨切り下げ競争が起き、危機がより深刻化していたはずだ。

 --ユーロ防衛基金や、アイルランド支援に参加しますね。

 ◆基金への出資や、アイルランド支援への参加は前向きに検討しており、現在、詳細を詰めている。

 --ユーロ危機脱出に向けた処方箋は?

 ◆加盟各国が財政赤字を削減するのが第一だ。基金増額を求める声があるが、現時点では時期尚早だ。また、ユーロ圏議長のユンケル・ルクセンブルク首相が提唱する欧州共通債(ユーロボンド)の発行も、私は支持しない。危機管理システムに依存する前に、各国が取り組める課題に取り組むことが先決だ。

 【略歴】ユルゲン・リギ(Jurgen Ligi)氏 93年タルトゥ大卒、旧ソ連時代はエコノミスト。95年国会議員初当選、05~07年国防相、09年6月より財務相。51歳。

 【ことば】エストニア

 人口約134万人、面積は4万5000平方キロ(北海道の約6割)。91年8月に旧ソ連から完全独立。04年に北大西洋条約機構(NATO)、欧州連合(EU)に相次いで加盟した。国内総生産(GDP)は約230億ドル。ユーロ圏の約0.2%で、加盟国では、マルタに次ぐ規模。経済危機に見舞われた09年の実質成長率はマイナス14%と落ち込んだが、11年は4%成長を見込む。財政赤字(10年)は、ユーロ圏最小の1%台(対GDP比)。

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