COP16:新合意案を採択し閉幕 途上国支援基金も

2010年12月11日 21時31分 更新:12月12日 0時30分

 【カンクン(メキシコ)足立旬子、國枝すみれ】国連気候変動枠組み条約第16回締約国会議(COP16)は11日朝、京都議定書に定めのない13年以降の地球温暖化対策について、今後の交渉の基礎となる「カンクン合意」を採択、閉幕した。先進国と途上国が自主目標で温室効果ガス排出削減に取り組み、先進国だけでなく途上国も国際検証を受けることを盛り込んだ。しかし、これらを法的拘束力がある枠組みとするかや、議定書を延長するかどうかの結論は先送りされた。来年12月、南アフリカで開かれるCOP17に向け交渉が活発化するが、難航するのは必至だ。

 京都議定書は先進国に温室効果ガスの排出削減を義務付け、12年末で期限が切れるため、議定書の延長も含めた次期枠組みづくりが焦点になっている。しかし、昨年のCOP15の失敗で交渉は停滞したため、各国は主要論点を棚上げして合意を優先した。

 交渉過程で、日本は「現行の枠組みで削減義務のある国の排出量が世界全体の27%にとどまる」と温暖化対策の実効性を問題視、議定書の延長に強硬に反対した。その結果、合意では、議定書締約国が13年以降の削減目標に同意しない権利に言及し、仮に議定書の枠組みが延長されても削減目標の義務付けを回避できる「抜け穴」を認めさせた。

 このほか、昨年のCOP15で議論された枠組み「コペンハーゲン合意」の内容を正式に採用し、先進国は削減目標を掲げ、排出量を毎年報告することを盛り込んだ。途上国は20年までに削減対策を取らない場合と比較して排出量を減らす。先進国だけでなく、途上国も国際検証を受けるとした。これらを法的な義務のある枠組みにすることは、米国や中国の反対で見送られた。

 議長を務めたメキシコのエスピノサ外相は「我々は歴史的な合意を成し遂げた」と語った。

 ◇菅首相「成果大」と評価

 菅直人首相は11日、COP16で、議長案が採択されたことについて「非常に大きな成果があった。日本の原則的な立場はしっかり守りつつ、米国と中国を国際的な枠組みに入れていくことについて、大変大きな前進を得られた」と評価した。

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