大人の知力:無作為抽出でお宅訪問 国際調査を来夏実施へ

2010年12月11日 15時0分 更新:12月11日 18時44分

 経済協力開発機構(OECD)が、国際学力テスト「学習到達度調査」(PISA)の“大人版”となる「国際成人力調査」(PIAAC)の準備を進めている。日本を含む27カ国が参加し、11年8月をめどに実施する。各国の成人が日常生活や職場で必要とされる能力をどれだけ持ち合わせているかを調べ、雇用や生涯学習など各個人のライフスタイルや、各国の経済成長への影響を検証するのが狙い。13年にも予定される結果公表は注目を集めそうだ。【遠藤拓】

 日本で調査を実施する文部科学省国立教育政策研究所によると、対象は16~65歳の男女で、多くの国で義務教育を終えてから社会の一線を退くまでの世代を網羅する。各国とも5000人程度を無作為抽出し、計約13万5000人を対象に調査する。

 調べるのは「読解力」「数的思考力」「ITを活用した問題解決能力」の3分野と、学歴や職歴を質問する「属性調査」。OECDが挙げる例題は▽商品の取扱説明書を読み、その商品に問題が発生した時の解決方法を答える(読解力)▽商品の生産量の表をグラフにする(数的思考力)▽複数人のスケジュールを調整してネット上でイベントチケットを予約する(IT)--などだ。

 調査は民間の調査会社に委託し、訓練を受けた調査員が、住民基本台帳から無作為に抽出した個人宅を訪問。調査員が持参したパソコンを使って回答してもらう。また、属性調査は調査員が面接して学歴や職歴、収入などを聞き取る。

 参加するのはOECD加盟の米国や英国、フランス、ドイツ、フィンランド、韓国など。非OECD加盟国からもロシアやチリなど4カ国が参加する。7日に結果を公表した09年のPISAで各分野のトップに立った上海は参加しない。

 調査の準備は07年から始まり、今年7月に予備調査を終えた。文科省の担当者は「成人の能力と学校教育や生涯学習との関係を分析し、それぞれの施策に役立てたい」と話している。

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