2010年12月11日 9時56分
福岡県中間市で08年9月、指定暴力団工藤会(北九州市)系幹部が射殺され、別の同会系組幹部らが殺人罪などで起訴された事件で、福岡地裁小倉支部(大泉一夫裁判長)は10日、「裁判員に危害が及ぶ恐れがある」として公判を裁判員裁判の対象から外すことを決めた。最高裁によると、裁判員裁判対象事件の除外決定は全国初。これまでにさいたま、高知両地裁の暴力団抗争事件で除外が請求されたが、認められなかった。
大泉裁判長は決定理由で、被告が所属する工藤会について「相手が一般市民でも殺人などの凶悪犯罪を組織ぐるみで行う。裁判員らに加害行為が及ぶ恐れもあり、裁判員の確保が困難な状況だ」と指摘した。
裁判員法は、裁判員裁判対象の事件でも、裁判員らに危害が及ぶ可能性などがある場合は裁判官だけの公判に変更できると規定している。福岡地検小倉支部は11月17日に除外を請求。公判を担当しない裁判官が非公開で協議していた。
地検支部の古賀正二支部長は「裁判所が適切に判断されたものと理解している」とコメントを出した。
起訴状によると、事件は組幹部の坂本敏之被告(42)ら2人が08年9月10日未明、安高(あたか)毅幹部(当時66歳)宅で同幹部の頭などに拳銃を撃ち、殺害したとされる。