暴力追放広島県民会議(広島市中区)に昨年、暴力団との各種契約に関する相談が過去最多の162件あったことが同会議のまとめで分かった。組員が知人を使って不動産賃貸契約を結んだなどとする相談が目立つ。金融機関が、口座開設を希望する人が暴力団関係者かどうかを照会する件数も増えている。
広島市内のマンションを所有する60代夫婦は、業者の仲介で1人の男性と一室の賃貸契約を締結した。だが、契約後は部屋に多数の男性が出入りし、マンション前の路上には高級車がずらり。さらに部屋の前に監視カメラが付くなど、組事務所として使われ始めた。
相談を受けた同会議が調べると、契約者の男性は「暴力団組長の妻の父親」と判明。暴力団追放を呼び掛けるステッカーを張り、部屋に出入りする人間をチェックする監視カメラを設置したところ退居したという。
また162件のうち半数以上を占めたのは、金融機関からの口座開設希望者の照会。金融機関は2007年以降、政府指針に沿って、融資などの契約に「暴力団排除条項」を設けている。昨年は預金口座の開設についても排除条項を追加した。照会により、1年間で組員25人、周辺者15人の契約を取りやめた。
永井覚専務理事は「どんなことでも泣き寝入りせず毅然(きぜん)とした対応を取ることが大事。不審な点があれば相談を」と呼び掛ける。同会議=電話082(511)0110。
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