徳島市の徳島大学病院で、難易度が高い外科手術を美波町などの2病院に生中継する取り組みがありました。映像だけでなく、音声のやり取りも含めた双方向システムの活用は四国初だそうです。
早期胃がんに施される腹腔鏡下(ふくくうきょうか)手術で、腹部に穴を開けて入れた腹腔鏡を通し、内部の映像を遠隔地の医師の間で共有しました。狙いとして手術の普及だけでなく、「都市部の病院の専門的な助言を受けながら、地方の医師が地域の病院で手術に臨む」という将来の医療の形も見据えているそうです。
地域医療の崩壊が叫ばれる中、検討に値する方策のようですが、関係者からは気になる指摘もありました。映像を通して手術の助言をする医師には、診療報酬が支払われないそうです。情報通信技術の発達が生んだ、制度上の新たな問題と言えるでしょう。賛否も含め、議論の進展を期待します。【井上卓也】
毎日新聞 2011年2月9日 地方版