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[スポーツ]ニュース トピック:主張
【主張】大相撲改革 放駒体制で道筋をつけよ
大相撲は存亡の危機にある。春場所中止を報告する会見で、日本相撲協会の放駒理事長は「うみを完全に出し切るまでは土俵上で相撲をお見せすることはできない」と語った。無期限の中止を宣言したに等しい。
八百長は相撲の根幹を揺るがす大問題であり、春場所の中止は当然の判断だった。警察に証拠を突きつけられた結果にせよ、文部科学省の圧力に背中を押されたにせよ、放駒理事長の会見の弁は、断腸の思いで振り絞った真摯(しんし)な言葉と受け止めたい。
横綱の品行問題、暴力事件、大麻汚染、野球賭博と不祥事が相次いだ中で、ここまでの覚悟を口にした理事長がいたか。いまは放駒理事長の下で、血を流す覚悟で改革に邁進(まいしん)するときではないか。大相撲の再生を力士出身の理事長に託す最後の機会といえる。
放駒理事長はまた「一つだけ私個人の意見を話すことが許されるなら」と断り、「全ての力士が故意による無気力相撲を行っているわけでは断じてない」と言葉をつないだ。この訴えは信じたい。
わずかな希望を残してはいるが、信頼回復への道はあまりにも険しい。調査のため提出を求めた携帯電話について、少なくない数の力士が「壊した」「変更した」などと理由をつけて応じていないという。このような態度で、疑惑の解明が進むはずがない。
また、過去の八百長について理事長は「裁判にもなったが判決も出ているし、なかったと理解している」と答えた。誰も納得しない話だ。過去に八百長があった可能性も認め、説得力ある再発防止策を打ち出すべきだ。
相撲協会は公益財団法人化を目指しているが、現状では到底、不可能だ。億単位のカネで取引される年寄名跡や、資金の多くをタニマチに求めてきた部屋制度など、根本的な問題に切り込まなくてはならない。
既得権益に固執し、根強い反対論があるとされる親方衆も、今なら改革を受け入れざるを得まい。場所の休止を奇貨として、監督官庁の文科省や外部理事も、総力を挙げて後押ししてほしい。
放駒理事長は「一日も、いや一秒でも早く、国技と胸を張れる相撲をお見せしたい」とも語った。それは、場所の復活を心待ちにするファンの願いでもある。言葉だけで終わらせてはならない。
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