ミャンマーで約半世紀ぶりに国会が開かれ、軍事政権ナンバー4のテイン・セイン首相を大統領に選出した。近く新政権が発足し、形のうえでは「民政移管」が完了する。
タン・シュエ国家平和発展評議会(SPDC)議長を頂点とする軍はなお強い影響力を保ち続ける見通しだが、統治の仕組みが変わることは確かだ。それをミャンマーの民主化と経済・社会の発展にどうつなげていくか。新政権に対する日本など国際社会の姿勢も試される。
試金石はアウン・サン・スー・チー氏ら民主化勢力への対応だ。軍事政権はスー・チー氏の自宅軟禁を解除したが、対話の呼びかけは無視してきた。スー・チー氏が率いる野党、国民民主連盟(NLD)を合法化し、政治犯を釈放することにも消極的だった。新政権はまず、こうした問題で前向きに動くべきだ。
少数民族問題も重要だ。新政権がこれまでの軍事政権の政策を踏襲し少数民族勢力への圧迫を強め続けるようだと、無用な緊張が高まる。
統治の中身も向上させないといけない。軍事政権では軍高官の汚職や親族による利権分配が横行してきた。悪い噂は少ない新大統領だが、経済発展を促すためにも透明で公平な政治を確立する必要がある。
米欧による対ミャンマー制裁の見直しを求める声が、東南アジア諸国連合(ASEAN)で浮上している。ASEANは1月、制裁を緩和すべきだとの認識で一致した。スー・チー氏やNLDも、何としても制裁を、との考えから転換しつつある。
ただ、米欧は制裁緩和になお慎重だ。この問題では、何といっても新政権が民主化や人権の問題で目に見える変化を示す必要がある。軍事政権の後ろ盾として人権弾圧や腐敗を是認してきた印象が強い中国には、ミャンマーに対し政策転換と建設的な対話を促すよう求めたい。
日本は援助を緊急の人道支援に絞ってきたが、本格的な援助再開を求める声が出ている。豊かな資源と安価な労働力、潜在的な経済力への期待が見受けられる。民生支援の必要性はあろうが、まずは新政権の政策の見極めが欠かせない。援助は、「民政移管」が前向きの変化を生むよう促す手立てとしたい。
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