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自衛隊除雪に「壁」

2011年02月09日

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旧入広瀬村での災害派遣について、松本龍防災担当相(右から2人目)に説明する自衛隊員(右)=5日、魚沼市穴沢

 魚沼市の豪雪災害対策本部は8日、旧入広瀬村内で2〜5日にあった陸上自衛隊第12旅団(群馬県)による除雪活動について、「市と自衛隊との考え方が若干異なり、今後は救援態勢のすみ分けが必要となる」などと総括した。自衛隊活動は学校や道路など公的施設の除雪が中心で、私的財産となる一般住宅には立ち入らない内部基準があり、救援活動に限界があった。(服部誠一)

   ◇

 標高約370メートルの旧入広瀬村の芋鞘(いも・ざや)地区。上り坂が続く県道沿いに、70歳以上がほとんどだという21世帯の家が点在する。佐藤武司さん(78)の築約50年ほどの古い木造2階建て住宅は、高さ5メートルの雪の壁に囲まれていた。

 雪壁は沢水で溶かし、スコップで掘る。妻(78)と2人の連日の作業だ。高台に見える留守中の人家は、自衛隊が入広瀬に入っていた4日、雪の重みで倒壊した。佐藤さんは「自分の家は自分で守る。そういう仕組みだと思っているから仕方がない」とあきらめ顔だ。

 魚沼市によると、自力で屋根の除雪ができない65歳以上の高齢者や障害者などの要援護世帯は、市内254世帯に上るが、市内約80の除雪業者は道路の除雪に忙殺され、住宅まで手が回らなくなるのが実情だという。芋鞘地区や、さらに標高が高い田小屋地区などは「集落全体がすっぽり雪に覆われている」(市幹部)ような状態で、市はこれらの地区の救援も自衛隊に期待していた。

 しかし、第12旅団司令部によると、災害派遣活動は、派遣の根拠となる自衛隊法第83条に明文化されてはいないものの、(1)緊急性(2)公共性(3)自衛隊でないと救援できない非代替性――の3原則が自衛隊の内部基準としてある。これが壁になった。

 自衛隊側は旧入広瀬村ほぼ全域を偵察したうえで、「地域すべての雪を撤去するのは現実的ではない。優先順位をつけるべき」などと主張し、市側と衝突する場面もあった。結果的に、穴沢地区の入広瀬中学校前の市道、大白川地区の国道252号や公民館で、雪庇(せっぴ)を取り除いたり、雪下ろししたりしたほか、そのまま積雪を放置すれば倒壊し、道路を寸断する危険性があった穴沢地区の民家と車庫計2棟の除雪をした。

 大平悦子市長は「私的財産まで立ち入れないのは市も同じ。今後、特に空き家対策では、地区との連絡体制を密にしたうえで、行政がかかわれるような独自要綱をつくることを検討したい」と述べた。

 魚沼市から県を通じて行った自衛隊派遣要請は、2006年1月の豪雪時以来。当時の積雪はピーク時で2メートル70センチほどだったが、15カ月前の中越地震による建物倒壊の危険があった。積雪の深さが1月に全国一の4メートルを超えた今回は、06年をはるかに上回る積雪のうえ、雪崩による道路の寸断や、空き家倒壊の恐れなど、市民からのクレームは1月末の時点で800件を超えていた。5年ぶりの派遣要請はこれらが根拠となった。

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