京都府舞鶴市の府立高校1年、小杉美穂さん=当時(15)=殺害事件で、舞鶴署捜査本部は7日午後、殺人と死体遺棄容疑で同市の無職、中勝美被告(60)=別の窃盗罪で服役中=を逮捕した。一方、遺体発見現場近くで事件発生直前、中容疑者とみられる人物が美穂さんと一緒にいるのが目撃されていたことも新たに判明。犯行を裏付ける直接的な物証は見つからなかったが、捜査本部は、目撃証言や防犯ビデオの分析などから、美穂さんが最後に行動をともにした人物が中容疑者だったと判断した。
府警によると、中容疑者は、府警が最近行った聴き取りに対しても犯行への関与を否定しているという。
中容疑者は、美穂さんが殺害されたとみられる昨年5月7日未明、殺害現場に向かう通りに設置された防犯ビデオに美穂さんと一緒に映っていた「自転車の男」と、身体的特徴や服装などが酷似していた。さらに、中容疑者が6日夜から市内の行きつけの飲食店などに出向いた後、美穂さんとほぼ同じルートで遺体発見現場方面に向かった可能性が高いこともわかった。
府警はこうした状況証拠のほか、現場近くで同7日午前3時ごろに2人らしき人物が一緒にいたという目撃証言も得て、中容疑者が美穂さんと最後に居合わせたと断定した。
美穂さんは昨年5月6日夜に自宅から一人で外出した後、行方不明となり、8日朝に舞鶴市の朝来(あせく)川のほとりの雑木林で遺体で発見された。鈍器で顔や頭などを殴られ、遺体には土や枯れ葉がかぶせられていた。
(2009年4月7日 産経新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090407-00000557-san-soci
【付記】
昭和48年9月、当時25歳だった中容疑者は、内縁の女性=当時(26)=との別れ話のもつれから、滋賀県草津市の路上で女性とその兄を刃物で刺して殺害。さらに近くの民家に押し入って住人の女性2人を人質に立てこもった。
ただ、人質となった女性(61)は意外にも「話している最中もずっと包丁を握りしめてやけっぱちな感じだったが、弱いところのある人だとも思った」と振り返る。最初は興奮していた中容疑者は、落ち着いて対応する女性と話すうち、次第に家族のことなど身の上を語り始めたという。
殺人罪などで実刑判決を受け、十数年間の服役後に舞鶴へ戻った。行きつけの店の店主は「店ではヤマモトと名乗っていた。前科があったから隠したかったのかな」と話す。
(2009.4.7 産経ニュース抜粋)
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/090407/crm0904072159044-n1.htm
さらに服役後の91年には、舞鶴市内の夜道で、いたずら目的で若い女性の自転車に体当たりし転倒させたところを、通りかかった海上自衛官に取り押さえられ、府警に傷害、強制わいせつ容疑で逮捕されている。容疑者の知人は「小さいころに両親が離婚。母親の手で育てられたが、母親が再婚してから荒れ始め、脅迫事件で少年院に入った。神戸市内で暴力団の使い走りをしていたとも聞いている」と言う。
中容疑者は18年前、舞鶴市内で自転車に乗った20歳代の女性を転倒させた上、殴る事件を起こし、実刑判決を受けている。この事件の犯行の手口が今回の事件と似ていたことが警察の調べでわかった。この女性も小杉さんと同様、顔などを鈍器のようなもので執拗(しつよう)に殴られていて、警察はこのことが今回の逮捕の理由の一つになったと話している。
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舞鶴高1女子殺害家宅捜索男、窃盗で実刑
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裁判5題
京都・舞鶴の女子高生殺害で自宅捜索された男
窃盗罪の実刑確定
【続報】
「京都・舞鶴女子高生殺害」京都地裁初公判
京都府舞鶴市で、府立東舞鶴高浮島分校1年小杉美穂さん(当時15歳)が殺害され、遺体が朝来(あせく)川沿いの雑木林で見つかった事件で、府警舞鶴署の捜査本部に殺人、死体遺棄容疑で逮捕された無職中勝美(なかかつみ)容疑者(60)(窃盗罪で服役中)が普段、自転車で持ち運んでいたバールが、事件後に見あたらなくなっていたことがわかった。遺体の傷跡から、凶器はバールのようなものとみられ、府警は事件後、バールが捨てられた可能性もあるとみて、慎重に捜査している。
発表によると、中容疑者は容疑について、逮捕後も「知らない」と否認している。
捜査関係者らによると、中容疑者は数年前から、外出に利用していた自転車のフレームのすきまに、傘を引っかけるように長さ約40〜60センチのバールを差し込み、側溝に落ちたものを拾う際などに使っていた。ところが、事件後、自転車からバールがなくなっていたという。
小杉さんの遺体には、頭や顔に複数の殴打痕があり、傷の形状から、凶器はバールなどの棒状の工具類の可能性が高いとみられる。府警は昨年11〜12月、殺人、死体遺棄の両容疑で中容疑者の自宅を捜索した際、バールを含む多数の工具類を押収。血液反応を調べたが、凶器とみられるものは見つからなかった。
中容疑者を巡っては、所有する複数の自転車の色が事件後、塗り替えられていたことがわかっており、府警は、バールがなくなったのも、証拠隠滅のためだったという見方をしている。
一方、事件直前の昨年5月7日午前3時過ぎ、中容疑者とみられる人物が自転車を押して小杉さんと一緒にいるのが目撃されたのは、遺体発見現場の北約200メートルの路上だったことがわかった。2人は帽子をかぶり、並んで歩いていたという。
これまで、2人が最後に目撃されたのは、午前2時30分過ぎの現場の北西約1キロだった。さらに現場寄りの目撃が得られたことで、府警は、中容疑者と小杉さんが現場に向かった可能性が強まったとしている。◇「裁判員」ぎりぎり対象外
京都府警は今回、中勝美容疑者を殺人と死体遺棄の両容疑で一括して逮捕することを選択した。
物証の乏しい殺人事件の場合、警察当局は死体遺棄など関連容疑で逮捕し、20日間の拘置期限ぎりぎりまで取り調べた後、殺人容疑で再逮捕することが多い。今回もこの手法を取って拘置期限を最も長く取れば、来月21日が拘置満期になる計算だ。
来月21日は、同日以降に起訴された殺人などの事件が裁判員裁判の対象となる大きな節目。7日に記者会見した京都府警の西裕・捜査1課長は「裁判員裁判とは関係ない」と述べたが、府警や京都地検の一部には、「裁判員ではなく、職業裁判官に判断してもらいたい」という声があったことは確かだ。物証や自供がない中、状況証拠を積み上げて容疑者を逮捕した今回の捜査を、裁判員がどう評価するかは不透明で、捜査当局はぎりぎりの決断を迫られたとみられる。
同じように直接的な物証がなかった「和歌山・毒物カレー事件」(1998年7月)の公判では、林真須美被告(47)の自宅周辺から見つかったヒ素と、カレー鍋のヒ素の同一性が高いとする鑑定結果や、現場の夏祭りの分刻みのタイムテーブルなどの状況証拠をもとに、林被告しかヒ素を混入できなかったことを立証。1、2審で有罪判決を導き出した(上告審判決は今月21日に言い渡し)。
京都府警も今回、防犯カメラの映像や新たな目撃証言から、中容疑者にしか犯行は不可能との結論にたどり着いたとしている。しかし中容疑者がどこで被害者と会い、その後、どう行動したのかは明らかになっていない。今後の捜査で、起訴や公判を維持できるだけの証拠を固めることができるのか注目される。
(京都総局 谷口友一、東京社会部 中村勇一郎)
(2009年04月08日 読売新聞)
http://osaka.yomiuri.co.jp/tokusyu/maizuru/xx90408a.htm?from=tokusyu
京都府舞鶴市の高校1年小杉美穂さん(当時15歳)殺害事件で、殺人、死体遺棄容疑で逮捕された無職中勝美容疑者(60)の行動が、事件の前後で変わっていたことが府警の調べでわかった。
小杉さんと歩く「自転車の男」が映った防犯カメラが設置された府道を避け、なじみの居酒屋に行く回数も減っていたほか、よく着ていた黒っぽい服も、事件後は白やピンク色へと一転していた。府警は、事件が中容疑者の心理に影響を与えたとみている。
捜査関係者らによると、中容疑者は自転車で市街地へ向かう際は、府道を通っていたが、昨年5月の事件後、近くの住民らは、府道を通っている中容疑者の姿を見かけなくなったと話している。
府道沿いには複数の防犯カメラがあり、事件があった同月7日未明、中容疑者とみられる「自転車の男」が、小杉さんと遺体発見現場方向へと歩く姿が映っていた。
(2009年4月8日 読売新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090408-00000700-yom-soci
事件当日着用、周囲に話す
京都府舞鶴市で昨年5月、高校1年の小杉美穂さん=当時(15)=が殺害された事件で、殺人容疑などで逮捕された無職中勝美容疑者(60)が、防犯カメラの映像公開後、事件当日に着ていた服と帽子を「捨てた」と周囲に話していたことが8日、中容疑者の知人への取材で分かった。
中容疑者は「知らない」と容疑を否認しているが、捜査本部はこうした経緯を把握し、証拠隠滅を図った可能性もあるとみて慎重に裏付け捜査を進めている。
知人によると、中容疑者は昨年5月6日夜、黒い帽子と黒い上着姿で舞鶴市内の飲食店を訪れビールを飲んだ。しかし、映像公開後に再び同じ店を訪れた際には、店員に、事件の日に着用していた「黒い帽子と上着を捨てた」と話した。乗ってきた自転車も隠そうとした。
(2009.4.8 産経ニュース)
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/090408/crm0904081740021-n1.htm
しかし、あの大掛かりな家宅捜索で直接的な物証は見つからなかったわけか。
なるほど、複数の目撃情報があったのか。
そうすると府警は早くから疑わしいと狙いをつけていたわけだ。
まあ、窃盗もその流れの上での逮捕だったわけですが。
あの家宅捜索も、公判のことを考えて直接証拠が欲しかったのでしょう。
なかなか強かだからね。
結局、新たな目撃情報や状況証拠、
防犯カメラの映像などなどでの逮捕ということになるわけで、
本人は否定してるようだし、限りなくクロに近いとしても、
直接証拠はないとすると公判維持は大丈夫なのかな。
ビデオの自転車の男が限りなく中容疑者に似ているとしても、
犯行を立証できるのかなぁと素人ながら思ったりして。
でも、一番大きな間違いは、付記にもあるように、
二人を殺害した凶悪殺人犯が、十数年で社会復帰してることじゃないの?
この事件が中容疑者の犯行だとすると、
厳しい判決が予想されますね。
この男も必死になるだろうな。
鉄拳さん
目玉おやじさん
SACHIさん
閻魔大王さん
こんばんは。
一応、逮捕ということになりましたが、
さて、あの大掛かりな家宅捜索によっても
犯行と結び付く直接証拠も得られず、
新たな目撃証言を得られたとしても、
それは、犯行を証明するものではなく、
アリバイのない中容疑者が、被害者の最後の接触者であるということに過ぎない。
心情的には限りなくクロですが、公判ではどう展開しますか。
府警の会見でも具体的なことは語られず、
今後の取調べのなかで、警察が公表していない何か秘密の暴露に繋がるようなことがあるのか。
それとも、状況証拠の積み重ねで押し通すのか・・・・。
某TV局で、中容疑者の過去の殺人・立て篭もり事件が放映されていましたね。
仰るように、十数年での娑婆への復帰はどうだったのか、
その後の犯罪性向をみていますと、全く更正されず
犯罪の「知恵」だけをつけてきたような気もしますね・・・・。
警察のいうように、犯人はこの男しかありえないという状況証拠なのでしょうが、やっぱり何か物証か、秘密の暴露が欲しいですね。
やはり、中容疑者犯人が強くなってくる状況ですね。
それに、事件当時のアリバイ証言も二転三転してるようですし、これからの取調べのなかで矛盾点を突き詰めて自供させるか。
しかし、過去に殺人事件を犯しているし、犯罪性向も強い。
この事件の残虐性を考えると、今度は極刑の線もありうるから、必死で抵抗するだろうな。
天馬さん
こんばんは。
関連情報が出ていますので随時追記していきます。
いまのところ直接的物的証拠はないようですが、
次々に漏れ出てくる報道では、やはり事件後の容疑者の行動は限りなく疑わしいですし、捨てたとされる衣服や凶器のバールなどが発見されるといいのですが。
仰るように、過去の犯行、犯罪性向などを含めて極刑も視野にすることになるでしょうが、
それだけに容疑者も強かに抵抗してくるでしょうね。
府警が何か隠し玉をもっていることを期待して、
今後の取調べに注視していきましょう。
容疑者逮捕の理由の一つに、過去に逮捕された女性襲撃事件との手口がかなり似ているということがあるようですね。
小杉美穂さん事件も当初は乱暴された形跡はなかったとしていましたが、今日の報道では、どうやらその形跡がみられるとして、性的目的ではないかと。
弁護士が自白の強要があるのではとなにやら動いているようですし、これからが勝負でしょう。