2011年2月8日 21時39分 更新:2月8日 21時50分
個体数の激増で農林業被害が深刻化しているエゾシカ対策として、北海道と陸上自衛隊は8日、道東の白糠町で、エゾシカの大規模な捕獲作戦を開始した。野生動物の駆除に自衛隊が協力するのは全国で初めてだが、初日は捕獲ゼロに終わった。
道によると、道内のエゾシカによる農林業被害は09年度で約50億円。このため、道は先月28日、陸自北部方面隊と協定を結んだ。この日は「白糠の夜明け作戦」と名づけられ、陸自第5旅団第27普通科連隊(釧路町)の隊員約40人とヘリ2機、車両19台が出動。ハンター35人と、道、白糠町の担当者45人も加わった。
ヘリが上空からシカのいる位置を確認し、ハンターを配置。低空飛行のヘリがシカを山から沢に追い立て、迎え撃つ作戦だったが、シカは林の中に逃げ込んだり、斜面を横に逃げたりと、「予定外の動き」(地元猟友会)。正午までのヘリの飛行予定時間を15分延長したが、1頭も捕獲できなかった。
作戦は10日まで。9日はハンターによる地上からのシカ追い込みと、ヘリの上空支援を併用する作戦に変更する。白糠町の棚野孝夫町長は「エゾシカ被害は『災害』のレベル。自衛隊による直接的な駆除も模索してほしい」と話していた。【山田泰雄】