大相撲の八百長問題をめぐり、約30年前、幕内力士の付け人を務めていた東海地方出身の50代の元力士が8日までに、別の幕内力士の付け人から「勝ちを譲る」と八百長を持ち掛けられたと共同通信の取材に証言した。現在、14人の力士・親方の関与が疑われている中、30年前の角界の状況を赤裸々に打ち明けた。
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元力士によると、付け人を務めていた幕内力士はある場所で、あと1勝で「敢闘賞」を受賞する勢いだった。対戦相手の付け人が取組直前、支度部屋を訪れ「勝ちを譲ってやると言っている」と切り出した。幕内力士がやんわり断ると、この付け人は不機嫌な様子で「変わった人だなあ」と立ち去った。
幕内力士は八百長を毛嫌いし、元力士には「持ち掛けてくる付け人は部屋に入れるな」と厳命。こうした八百長の誘いは幾度か続いた。
十両と幕下では待遇が大きく異なるため、十両の昇格、降格をめぐり八百長が横行。一番の相場は当時、20万〜50万円。幕内の優勝や受賞にかかわる大一番となると、当然金額は上がった。現金のやりとりだけでなく、巡業先の宿泊代や飲食代を肩代わりする場合もあったなどとしている。
「一門のトップが綱をとるとなれば、一門の者が総出で動いた。暗黙の了解だった。他の部屋とはトイレや支度部屋で、付け人や床山(まげ結い)がやりとりした」
元力士は八百長を突っぱねた目上を見習い、厳しい稽古に耐え、相撲道を歩んだ。「幕内力士になれば、高い給料がもらえる。今の力士は就職感覚で入門するから、角界に長居しようとする。それが八百長の温床。手軽なゲーム感覚で星のやりとりをしているようでならない」と心配した。
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