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[ライフ]ニュース トピック:産経抄
【産経抄】2月9日
2011.2.9 02:50
居酒屋で一杯やっていると、隣の客の八百長話が耳に飛び込んできた。「あの名対決も八百長だったかもしれないと思うだけで許せない!」という糾弾派と「昔からあるのだから、そう目くじらを立てなくても」という擁護派が、がっぷり四つに組んで口角泡を飛ばしている。
▼テレビ中継の視聴率は週末でも10%台と低迷しているが、なんやかんやいっても日本人は相撲が好きだ。相撲協会は一刻も早くウミを出し、本場所を再開できる環境づくりに精進してほしいが、どうもすっきりしない。
▼八百長の動かぬ証拠となったのは、野球賭博事件の捜査で警視庁が押収した携帯電話だ。だが、競馬や競輪と違い、相撲の八百長は、賭博行為を伴わない限り刑事罰には問えない。なのにどうして警察は、捜査で得た個人情報を安易に第三者である文部科学省に提供したのか。
▼断っておくが、週刊誌の告発を長年にわたって無視し、八百長を放置してきた相撲協会を免罪しようというのではない。法的に罪が問えないなら第三者に情報を流し、社会的制裁を加えた方がいいと小賢(こざか)しい知恵を働かせた輩(やから)にも腹が立つ。
▼政府は、4年後の導入をめざし、国民一人一人に番号をつける共通番号制度の準備を本格化させている。納税手続きが簡単になり、1枚のカードが医療保険証にも年金手帳にもなる優れものだが、気になる点も数多い。第一、国家が個人の所得から病歴までの情報を一括把握する必要はあるのか。
▼小欄は社会保険庁の小役人たちが、有名人の年金情報をのぞき見していた過去を忘れていない。ましてや自由な言論を封殺する防衛省次官通達を出した政権のやることは、眉に唾をつけて見た方がいい。
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