無機質な憎悪
米田の話を聞きながら、私は前述した在特会の大分街宣を思い出していた。手馴れた感じの桜井の演説はともかく、マイクを握る会員たちの声や表情から垣間見えたのは、怒りというよりは、得体の知れぬ憎悪のようなものだった。
その日、桜井の次に演説した30代の男性は、次のように声を張り上げた。
「生活保護など、日本人にはなかなか支給されないのに在日だけは優遇されているんです。通名制度だって、在日だけに許されているんですよ。日本人になりすますことができるんです!」
50代と思しき男性も、怒気を含んだ声のアジテーションを披露した。
「これまで朝鮮人は出て行けと言える団体はなかったんですよ。なぜか? 朝鮮総連や韓国民団が怖かったんです。でも、もういい加減にしてほしいと思って立ち上がったのが、我々在特会なんです。みなさん、本当に従軍慰安婦なんて存在したんですか?(「いませ~ん」と、合いの手)いま、この大分にも韓国人の売春婦がいっぱいいるでしょう。慰安婦なんてのは、それと同じなんですよ。そんな女性たちに、なんで謝罪や賠償をしなければならないんですか! 日本人をナメるなと言いたい!」
参加者のなかで私が最も注目したのは、ボーダーのTシャツにジーンズというラフな格好で来ていた29歳のOLである。くりくりとした二重の目には幼さが残り、「少女」と表現してもおかしくないような顔立ちである。
「みなさ~ん、ご静聴をお願いしま~す」と、かわいらしい声で切り出した彼女であったが、話が「在日特権」に及ぶと、声色に突然、凄みが加わった。
「お前ら在日は、差別だ人権だと騒ぐばかりで、何かあれば顔を真っ赤にして金を要求する。それが人に物を頼む態度か! 高校サッカーの全国大会に、高校でもなんでもない朝鮮学校が出場している。それが特権なんですよ。朝鮮学校なんて得体の知れないものに、大学の受験資格まで与えている。そのうえ授業料の無償化ですかぁ? どこまで厚かましいんですか! いままで一度でも日本人に『ありがとう』って感謝したことがあるんですか? この恩知らず! 恥知らず! 礼儀知らず!」
私は演説を終えたばかりの彼女に話しかけた。わざわざ福岡市から駆けつけたという彼女は、1年前に在特会へ入会したという。
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Reply #7 on : 2011/02/02 13:08:58
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Reply #6 on : 2011/02/01 18:55:34
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