劉暁波氏:釈放巡り米中対立 「ウィキリークス」暴露

2010年12月10日 10時43分

 【ワシントン草野和彦】10日にノーベル平和賞授賞式典を迎える民主活動家、劉暁波氏の処遇について、釈放を促す米国に対し、中国側が「人権問題ではない」と主張し、「内政干渉」をやめるよう要請していたことが内部告発サイト「ウィキリークス」が暴露した米外交公電で分かった。人権問題を巡り、米中の相いれない価値観が鮮明になった。

 劉氏は中国共産党の一党独裁を批判する「08憲章」を起草した中心人物。今年2月の控訴審で国家政権転覆扇動罪で懲役11年の刑が確定し、服役中だ。

 08年12月29日付の北京の米大使館発公電によると、劉氏の釈放を求めるランド米大使(当時)に対し、劉結一外務次官補は「人権問題というより、法の支配の問題」と反論し、国内法に基づき対処していると主張した。

 また09年12月21日付公電によると、ハンツマン米大使がこの数日前、劉氏の処遇への懸念を伝える楊潔※(ようけつち)外相への書簡を出したことに抗議するため、外務省高官が米大使館高官を呼びつけた。

 中国側高官は「すべての市民は法の下で平等だ」としながらも、人権活動家らは「中国政府を攻撃することで、身勝手な利益を追求している」と批判した。さらに米国が人権を利用して内政干渉をしないように訴えた。

 中国側高官はまた、食糧や住宅など「国民の基本的な幸福」の分野では中国は進展を遂げた点を指摘すると共に、人権問題は米中間の感情的な対立に発展しかねないとして、中国の立場に理解を求めた。

 クリントン国務長官は9日、「世界人権デー」(10日)に際して声明を出し、劉氏の「即時釈放」を求めた。

 (※は竹かんむりに褫のつくり)

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