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法人サービストップ > 中途採用ノウハウ > 採用の達人 > 業界トレンド/採用動向 > キャリアに関するデータの真相 その1:「若者は内向き」という誤解。
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掲載日:2010/11/18

キャリアに関するデータの真相 その1

「若者は内向き」という誤解。

 新コーナーの登場です。最近、とみにマスコミをにぎわすことの多くなった、キャリアに関する諸データ。一般読者の関心の高さが伺われるところです。ところが、こうしたデータを扱いなれていないマスコミ諸氏、ずいぶんと間違った解釈が記事になり、それがいつの間にか常識となる、という困った状況です。こうした、おかしなデータに対して、鋭い突っ込みをしながら、真相を解説する、というのが新コーナー「キャリアに関するデータの真相」です。初回は、「若者の草食化」に関するデータを斬ることにします。レポートは、もちろんデータの鬼、海老原嗣生(HRmics編集長)です。

10年で4割も留学生が減った?

 少々私事になるが、私は決して若者批判者ではない。「『若者はかわいそう』論のウソ」などの拙著は、「若者批判」ではなく、いいかげんなデータがあまりにも安易に世間にまかり通っている現状を批判したものだ。

 いい加減なデータをもとにした若者批判が始まれば、「そんなのウソだ、若者はもっとまともだ」と、擁護だってする。今回遡上に乗せるのは、まさにそれなのだ。

 最近、「若者が内向きになった」という俗説がマスコミをしきりに賑わせている。その論拠の一つとして何度も登場しているグラフに、図表①に示すデータがある。

図1

 このデータは各国のアメリカへの留学生の国別推移(IIE/Institute of International Education調査)を示したものだが、日本は90年代後半に4万5000名前後で推移していたものがその後、10年以上減少を続け、現在では2万8000名、ピーク比マイナス40%にまで落ち込んでいる。この間に、インド・中国・韓国は目覚ましく留学生を増やしているから、「国際的に日本はやっぱり負けている」と考えてしまいがちだろう。

 なんと、このデータが識者の口から語られ出して、新聞やテレビ、それも報道討論番組のような高質な議論の場でも、使用されている。これでは世間一般に、「若者の内向き」は認知されて仕方ないだろう。

 しかし、このデータ、全くのお門違いなのだ。

 文部科学省の発表データによれば、日本の総留学生数は、図表②に示すとおり、2004年にピークとなり、その後微減傾向だが、直近でも7万6,000人超。図表②ではピークだった1997年よりも20%以上も増えている。

図2

 さて、どうしてこんな全く異なるデータが2つ並ぶのか?答えは簡単。図表①はアメリカへの留学数、図表②は全世界への留学生数だからだ。種明かししたのが図表③となる。

図3

こちらで見ると、日本は北米・アジア・ヨーロッパなど、多地域に留学生が分散している。そのため、アメリカへは減少と、それだけのことなのだ。

アメリカ一辺倒から各国に分散しただけのこと

 理由はいくつか考えられるだろう。

 まず、英語圏でも昨今、留学生の獲得競争が激しくなっていること。たとえば、イギリス・カナダ・オーストラリア・ニュージーランドなどのもう当たり前の「アメリカの競合」のみならず、マルタ共和国やインド・スリランカなどの新興勢力も、この争いで台頭しはじめている。

 二つ目には、日本が文化的・経済的に成熟度が高まったことがあげられる。アメリカで先進技術や学問をキャッチアップすることが主目的の中国や韓国とは異なり、日本ではヨーロッパやアジア各国で、多様な文化を学ぶ人が多くなった。産業界主導もしくは就職や研究のため、といった留学ではなくなってきた結果、アメリカ一辺倒から世界への分散が起きた、ということなのだろう。

そもそも、留学適齢人口が激減している。

 それでも、2004年以降の微減が気にはなる。しかし、これも説明できる要因がある。それは、図表④に示す留学適齢人口(18〜29歳)の減少なのだ。

図4

 この人口、1997年より減少を続けている。それでも、2004年まではヨーロッパやアジアなど新たな相手国への留学生増加で、全体増を維持してきたが、最近では各地域への留学生増加も一巡し、基礎人口の減少をカバーしきれず、微減傾向となっている、と読めるだろう。

 ちなみに、留学適例人口当たりの留学生数は、直近2009年現在でも0.4%と過去最高を更新し続けている。つまり、人口当たりの留学生は増え続けているのだ。

ハーバード留学生減少のウソ

 それでも疑り深い人は、「ハーバード大学の日本人留学生が、昔は20名もいたのに、今はたった1名」というデータを上げるのではないか。ワシントンポストがその出典だが、こちらは数字や論拠があいまいすぎる。

 
【1】まず、ハーバード大学への日本からの留学は、大学院が昔から圧倒的に多数であり、その人数は今でも100名を超えている。
【2】学部への入学は最盛期でも20名弱であり、現在3〜4名と減少しているのは確かだが、1名という年はない。
【3】ハーバードは留学定員があり、そのため、韓国・中国・インドの留学生が激増した昨今は、日本人が割を食っている。
【4】その玉突きか、昨今はイェール大学への日本人入学者が増え、今年は7名と過去最高となっている。

 といった反証が挙げられている。このデータから言えば、「イェール大学への日本人留学生が過去最高!日本の若者は外向きだ」なんて記事だって書けてしまうのだ。

新入社員調査さえ、論拠にはできず

 さてさて、まだあきらめずに「日本の若者は内向きだ」と唱え続けた人は、たとえばJMA(社団法人日本能率協会)が行っている新入社員アンケートで、海外勤務希望者が減っている、というデータを出す人がいるかも知れない。しかし、このデータさえ、よく見れば(1)減少幅は10%程度。(2)15年前と比べて、女性新入社員比率が高まっている。(3)海外渡航経験者が昔より多いため、海外勤務の価値が減った。(4)就職氷河期を経験して入社するため、贅沢を言わない風潮がある。などの諸理由が考えられる。

 しかも、このアンケートの結果を見ていくと、「強く海外勤務を希望する」という層は増えている、という矛盾も孕んでいる。つまり、ここでも安易に「若者は内向き」とはいえないことがわかる。



 論拠の曖昧なデータ1つでマスコミが踊るのは毎度のことだが、企業の人事はこうした風説に流されないよう、くれぐれもご注意のほどを。

Next Time
次回は「人事制度トピックス前編 vol.9」をお送りします。
「キャリアに関するデータの真相 その2」につきましては、年明けにお送りさせて頂きます。ご期待下さい。
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