愛知県知事選で前衆院議員の大村秀章氏、名古屋市長選で前職の河村たかし氏がそれぞれ圧勝した。減税で共同戦線を張る両氏を県民、市民が支持したといえよう。
この選挙は各党が4月の統一地方選の前哨戦と位置付けた戦いだった。河村氏は自らが代表を務める地域政党「減税日本」の公認で立候補し、大村氏もその推薦を得て戦った。
両氏が民主、自民などが推した候補に大差で勝利したことは既成政党に対する厳しい批判といえる。国政が停滞するなかで、独自の改革を訴えた両氏に大量の票が集まった。
2人は共通の公約として「県民税・市民税の10%減税」を掲げた。減税で企業を誘致し、人も呼び込む戦略だ。河村氏はその財源の一部を高額な市議会議員の報酬の半減など行財政改革でまかなうと主張してきた。すでに公務員給与も一部削減しており、こうした点が有権者の幅広い支持を得たとみられる。
市議会解散の是非を問う住民投票でも賛成が過半数を占めた。これで大都市では異例のリコール(解散請求)運動による議会解散が決まった。議会は市民の厳しい視線を受け止めて、自ら議員報酬の大幅な削減に踏み切ると同時に、減税について前向きに検討すべきだろう。
一方、減税に次ぐ共通公約の柱である「中京都」構想については疑問が多い。県と市を合体して中京都を創設するというが、県市の二重行政をなくすことが主眼なら、2人が指導力を発揮して役割分担をはっきりするだけでいいのではないか。
中京都は大阪府の橋下徹知事が唱える「大阪都」とは明らかに異なる。橋下知事は東京都を参考に大阪市と堺市を幾つかの特別区に分割する方針だが、河村氏は名古屋市を特別区に分けるつもりはないという。
中京都構想も財源のねん出に向けた行革の一環と位置付けられている。歳出削減の具体的な案を県民、市民に早く示してほしい。
減税は県と市で600億円にのぼり、議員報酬などを減らしただけで済む規模ではない。そのために借金を増やすようになってはならない。
今回の選挙では「河村流」が勝利したといえるが、知事選との連携を狙って任期途中で市長を辞任した河村氏は、当選したとはいってもほめられたものではない。
首長が独善に陥ることを防ぎ、監視するために議会は存在している。議会との対立を強調することで有権者の支持を得る手法は危うさもはらんでいる。河村氏には勝利した今こそ、謙虚な姿勢を求めたい。
河村たかし、大村秀章、橋下徹、愛知県知事選、名古屋市長選
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