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社説:陸山会事件公判 背景立証も注目したい

 民主党の小沢一郎元代表の公判の行方にも直結するだろう。

 小沢元代表の資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐり、政治資金規正法違反に問われた衆院議員、石川知裕被告ら元秘書3人の初公判が行われた。3人は起訴内容を全面的に否認し無罪を主張した。検察側との徹底抗戦の構図が明確になった。

 検察側は冒頭陳述で、石川議員と元公設第1秘書の大久保隆規被告が、小沢元代表から提供された4億円を収支報告書に記載しなかった理由について「小沢事務所における公共工事受注に絡む建設業者からの謝礼金受領に関与していたため、その由来を詮索、追及されるのを回避しようと考えた」などと主張した。

 さらに検察は、水谷建設側関係者が、石川議員へ04年10月、大久保元秘書へ05年4月、東京都内のホテルで5000万円ずつ手渡したと具体的に指摘した。石川議員と大久保元秘書は真っ向から授受を否定した。

 石川議員ら元秘書3人は7月まで17回の公判日程が入っており、秋ごろに判決の見通しという。この間、水谷建設元幹部らが証人として法廷に立つ予定だ。ゼネコンからの資金提供の有無は、昨年1月に東京地検特捜部が強制捜査に踏み切って以来、核心部分とされてきた点でもあり、その証言内容に注目したい。

 大阪地検特捜部の郵便不正事件で、特捜検察の強引な取り調べ手法が批判を浴びた。今回の公判でも、特捜部の取り調べが適切だったのかが争点の一つになりそうだ。

 捜査段階で、石川議員と元私設秘書、池田光智被告は虚偽記載を認め、小沢元代表へ報告・相談したことなどを供述したとされる。

 昨年5月の東京地検の任意の再聴取の際も石川議員は、供述を変えなかった。検察審査会はそれを重視し、小沢元代表の起訴議決の有力な根拠になった。

 だが、石川議員は、再聴取の際に持ち込んだICレコーダーの記録を基に、供述調書の任意性や信用性を争う構えだ。初公判の冒頭陳述でも「検察側が独自にストーリーを創作して、硬軟取り交ぜた取り調べ方法で執拗(しつよう)に迫った」などと、脅しや利益誘導を主張した。池田元秘書側も無理な取り調べの結果、虚偽の自白に追い込まれたと述べている。

 取り調べた検事らの証言を通じ、取り調べの正当性を立証できるかが検察にとってはカギとなる。

 小沢元代表は、3人の元秘書の起訴後も、「不正はなかった」との発言を繰り返してきた。事件への共謀については、自身の公判で裁かれるが、これとは別にいまだ実現していない国会での説明は必要だと改めて指摘したい。

毎日新聞 2011年2月8日 2時30分

 

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