危機にひんした大相撲、度重なる不祥事で信頼低下
日本の国技とされる相撲の興行「大相撲」を主催する日本相撲協会が「八百長(事前に示し合わせた通りに勝負をつける)」事件の発覚を受け、1年間に6回(1・3・5・7・9・11月)開催する本場所のうち、3月に行う春場所を中止することを決めた。不祥事で本場所が中止されるのは、1833年に始まって以来、初めてのことだ。
この問題をめぐり、菅直人首相は「日本人に対する裏切りだ」と非難し、また読売新聞は「日本の国技・相撲が存亡の危機にひんした」と評した。
八百長疑惑は以前から既成事実化されていた。「週刊現代」は2007年1月、当時の横綱・朝青龍が、取組の相手に80万円を渡して八百長行為をしたという記事を掲載し、日本中を騒然とさせた。
08年10月には、元力士の板井圭介氏が東京地裁で「現在も大相撲の取組の75-80%は八百長だ」と証言した。このように、たびたび疑惑が浮上していた八百長行為が、今回白日の下にさらされた。
現役力士二人と引退した親方一人が携帯電話で「押し出しで負けてくれ」などといった、八百長行為を依頼するメールをやりとりしていたことが、相撲協会の調査で今月6日までに分かった。
八百長行為だけではない。昨年7月には、暴力団と関わりがある野球賭博や麻雀、花札などの賭博に65人の力士や親方が関与していたことが発覚し、処罰を受けた。また09年には、親方が暴力団の幹部55人に本場所の維持員席(VIP席)のチケットを渡し、物議を醸した。
08年8月には、幕内力士・若ノ鵬が大麻を所持していたとして逮捕された。こうした度重なる不祥事により、日本国民の大相撲に対する信頼が地に落ちたのは言うまでもない。
大相撲の力士たちがこうした行為に手を染めたのは、相撲界特有の閉鎖的なムードと無縁ではない。相撲界は横綱をトップとする幕内を頂点とし、十両、幕下、序二段など、実力に応じた階級があり、それによって待遇は天と地ほどの差がある。
韓国出身の現役力士・春日王(本名:金成沢〈キム・ソンテク〉)=33=は「十両に上がるまでは月給もなく、畳の部屋で過ごし、おかずなしでご飯を食べるだけの生活を送る。成績によって力士生命を左右されるため、危機感を感じざるを得ない」と話した。
力士たちは私生活でも厳しい制約を受ける。1990年代に活躍した元横綱・貴乃花は、相撲界からの圧力により、ヌード写真集を出した女優・宮沢りえとの婚約を破棄した。
モンゴル出身の横綱・朝青龍も、乱れた私生活がたたり、昨年2月に引退を余儀なくされた。厳格な上下関係も、若者たちから敬遠される要因となった。2007年6月には、入門して間もない17歳の時太山が、兄弟子らから暴行を受け死亡する事件が発生した。
時太山の遺体には、無数のあざや、たばこの火を押し付けた跡が見られた、と日本メディアは報じた。AFP通信は先月26日「相撲協会の調査によると、現在も相撲部屋の90%で、弟弟子を殴打したり、口に砂や塩を詰めたりするといった暴力行為が行われている」と報じた。
丁世暎(チョン・セヨン)記者