【社説】口蹄疫の二次環境被害、防止策を立てよ

 慶尚北道で家畜伝染病の口蹄(こうてい)疫に感染し殺処分された家畜の死体を埋めた750カ所のうち、各市・郡が地盤が弱いと指摘した90カ所を環境部(省に相当)と慶尚北道が先月調べた結果、45カ所で崩壊・流失の危険があることが判明した。気温が上昇したり、大雨が降ったりした場合、斜面の土砂が崩れ、家畜の死体や汚染された地下水が流出する可能性があるという。李万儀(イ・マンウィ)環境部長官は「これまで経験したことがない環境災害が起きかねない」と警告した。

 2000年以降、4回にわたる口蹄疫流行で殺処分され、620カ所に埋められた家畜は22万頭にすぎなかった。しかし、全国4054カ所に310万頭を埋めた現在の状況は過去とは完全に異なる。住民や地権者の反対で家畜を埋める場所を確保できず、傾斜地や山野の地中に廃棄されたケースが少なくない。こうした場合、芝生を植えたり、石垣で壁をつくり、雨水がしみ込まないように排水路を設けなければならないが、それがどれほど守られたかは疑問だ。家畜を埋めた場所の下部にはビニールが二重に敷かれているが、豚の場合は生き埋めされる際に暴れ、ビニールが破れるケースが多かった。

 まず、家畜を埋めたすべての場所に対する調査を行い、二次環境被害が起きる可能性が高い地点を明らかにしなければならない。崩壊・流失の危険がある場所には、周辺の地価に防護壁や遮水壁を設け、崩壊や汚染水の流出を防ぐ必要がある。家畜の死体の腐敗には3~20年かかるため、浸出水が地下水を汚染していないかチェックし、地盤が陥没した場所には定期的に盛り土を行わなければならない。

 家畜の死体処理には焼却、高温滅菌処理など衛生的な方法もある。英国は01年に700万頭の家畜を殺処分した際、当初は露天でも焼却を行ったが、殺処分規模が拡大したため、大型の埋蔵処分場を設置した。韓国では予防ワクチン接種が進み、今後は口蹄疫の発生規模が縮小する見通しだ。小規模の口蹄疫発生には、トラックで輸送可能な移動式焼却炉で対応するなどの方策を探る必要がある。

 殺処分を行った農家が家畜の飼育を再開する際には、防疫設備をしっかり整えなければならない。飼育場の出入り口は1カ所だけとし、畜舎内で使われる用具類を一度外部に持ち出した後は、それを再び畜舎に持ち込んではならない。畜舎と畜舎の距離を500メートル以上離すよう制限を加えることも検討すべきだ。

 英国は01年の口蹄疫第発生以降、システムを整備し、07年8月3日午前に口蹄疫の発生報告を受けると、直ちに全国で牛の移動を禁止するとともに、正午には口蹄疫の検査を終了し、同日午後8時には殺処分を終えた。こうした迅速な対応には、地域ごとに家畜がどのルートで移動し、食肉加工され、飼料やふん尿がどの経路で運ばれるかなどに関する「口蹄疫防疫地図」を作成しておく必要がある。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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