【コラム】韓国の核保有問題、議論する価値もないのか(上)

 韓国も核兵器を保有すべきという主張は、議論する価値さえないのだろうか。「北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)政権との対決あるいは交渉を行うには、韓国も核兵器を保有すべき」とする考え方は、今のところ韓国社会ではほとんど注目されていない。安全保障面におけるこの種の国家的課題では、何よりもまず政界が重要な役割を果たさなければならないが、当の政界はこの問題に関心さえ持っていないようだ。韓国の核武装に関する議論は、その必要性に関する問題提起さえタブー視、あるいは度外視されている。

 その理由は何だろうか。第1に考えられるのは、韓国社会における自暴自棄、つまり「われわれが望んでも実現するわけがない」という考え方だ。「米国は韓半島(朝鮮半島)の非核化を主張しているため、韓国の核保有を認めることは考えられない。米国が反対するなら、現実問題として韓国の核保有は難しい」という論理がその背景にある。

 しかしこれは、国民全体の強い意志さえあれば、状況はいくらでも変えることができるはずだ。米国は現在、北朝鮮の核武装を阻止できていないが、一方で韓国に対してはいつまで核武装を禁じるのだろうか。この問いに対し、米国はいまだに明確な回答を提示していない。北朝鮮が韓国に対して核兵器で攻撃してきた場合、米国は中国との核戦争を覚悟してまで報復に乗り出すだろうか。これも明確にしておくべき問題だ。北朝鮮が核弾頭を搭載できる長距離ミサイルの射程距離を伸ばし続けるのなら、米国も韓国のミサイル能力を弾力的に運用する以外にない。この点はすでに米国も認めている。

 一方で韓国の核兵器は統制が可能だが、北朝鮮の核兵器は統制が不可能なだけでなく、核兵器開発は今も引き続き行われている。これも米国や関係各国が直視すべき現実だ。

 2番目の理由は、韓国の核保有が、日本をはじめとするアジア各国での核兵器開発を触発し、それが東アジア全体に核戦争の恐怖を引き起こすという考え方だ。われわれが核武装を宣言すれば、日本と台湾が核保有に向けて動き出す可能性は確かに高い。しかし核兵器は北朝鮮だけが保有する排他的兵器である場合に限り、その威力が保証されるのであり、韓国や日本などが核兵器を保有すれば、それによって恐怖のバランスが保たれ、むしろけん制の効果を発揮することができる。複数の人間が同時に銃を保有していれば、誰も先に銃を撃てないのと同じ理屈だ。

 先日開催された世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で中国のある学者は、「北朝鮮は核兵器を保有しているため、統一韓国も核兵器を保有することになるだろう。この現実は現実として認めなければならない」「中国はすでにロシア、インド、パキスタンなどの核保有国に囲まれているため、核保有国が一つ増えたからといって、変わることは何もない」と発言した。統一韓国を前提とした発言だが、複数の国が核を保有する状況をすでに受け入れているのだ。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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