北朝鮮住民2000万人、地下経済で延命か
韓国政府は、北朝鮮の配給体制が最近急速に崩れ、全人口の約83%に相当する2000万人が地下市場経済に依存していると見ていることが分かった。
また、現政権の一貫した対北朝鮮政策が北朝鮮内部に変化をもたらしていると考え、今後もこれまでの対北政策を推し進めていく方針だと見られている。
政府当局者は7日、本紙記者に「北朝鮮の人口2400万人のうち、平壌市民ら約400万人は中央政府からの配給で生活しているが、それ以外の2000 万人はほとんどが地下市場経済に依存し生活しているものと推定される」と語った。
この当局者は「配給をきちんと受け取れない北朝鮮住民は闇で行われている地下市場により生存している。北朝鮮当局の掌握力が弱まっていることから暴動を懸念、地下市場経済を放置するしかない」と話した。
また「以前は北朝鮮に公式に毎年食糧50万トン、肥料30万トンを渡していたが、北朝鮮が和解を拒否し挑発を続けているため、李明博(イ・ミョンバク)政権はそれ以上の支援をしていない。こうしたことなどが北朝鮮の配給システム瓦解に影響を及ぼし、中間層は崩れつつある」と話している。
北朝鮮問題に携わる政府高官らは、対北朝鮮関連情報機関の分析を基に、こうした情報を共有しているという。これに関連、脱北者による北朝鮮向けラジオ放送「自由北韓放送」のキム・ソンミン代表は「韓国政府は、朝鮮人民軍約140万人と平壌市民約260万人が北朝鮮中央政府の配給に頼っているだけで、ほかの地域では正常な配給網が断ち切られたと分析している模様だ」と話す。
昨年発生した韓国海軍哨戒艦「天安」沈没事件や延坪島砲撃事件以降、韓国政府が北朝鮮の誠意ない対話提案を拒否し続けている背景には、こうした判断がある。配給体制がほとんど崩れ、各自が生活していくために地下市場経済に頼り、これが拡大している状況が進めば、北朝鮮は態度を変えざるを得ないという政策的判断だ。これについて、韓国政府当局者は「韓国政府が一貫した対北政策を推進し、内部に変化が起きているため、北朝鮮は対話をしようと言ってきているのではないか」と語った。
事実、北朝鮮は今年1月から南北間当局・国会・赤十字会談を含め、連日さまざまな形で対話を提案し続けているが、韓国政府は慎重だ。哨戒艦・延坪島問題に対する謝罪と共に非核化を要求する一方で、「北朝鮮は持ちこたえられなくなる」と考えている。大統領府の千英宇(チョン・ヨンウ)外交安保首席秘書官は先月、米PBS放送とのインタビューで「北朝鮮の『変化』のための内部エネルギーは大きくなっている」と北朝鮮が崩壊する可能性に触れた。
韓国政府は、北朝鮮が2009年11月に実施し失敗した通貨改革をきっかけに北朝鮮に地下市場経済が急速に拡大したと見ている。北朝鮮の中間層は当時、通貨改革に強く反発、朝鮮労働党の朴南基(パク・ナムギ)計画財政部長が通貨改革失敗の責任を負わされ処刑されたという。
李河遠(イ・ハウォン)記者