大相撲の八百長問題で、日本相撲協会の放駒理事長(62)=元大関魁傑=が7日に監督官庁の文部科学省を訪れ、関与が疑われる14人の力士・親方のうち複数が、携帯電話を機種変更や破損していたと報告していたことが、分かった。機種を変更することで、過去の通話やメールの内容を解析することが難しくなる。変更した時期は断定されていないが、場合によっては証拠を隠滅するために変更したケースも考えられる。
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春場所中止の説明で所管官庁の文部科学省を訪問した際、放駒理事長ら協会首脳は「特別調査委の調査が難航しそうです」と伝えた。大きな理由は携帯電話の機種変更。八百長についてのやり取りを解析しようとしても、引き継がれない過去のメールまでは検証が難しくなるからだ。
証拠隠滅を疑われかねない行為で、機種変更の時期が重要となる。文科省の競技スポーツ課担当者は「時期は分からない」としており、今回、八百長が強く疑われる昨年の夏場所以降に手続きされたかどうかは不明。八百長問題の全容が未解明のため、前後関係を特定しにくい事情もある。
放駒理事長は「機種交換をしたというのが多いようだ。はっきりとは分からないけれども、前回の野球賭博(問題)のころに変えたというふうに思っている」と説明した。野球賭博に関与した力士らは、警察に携帯電話を押収されており、それがきっかけで機種を変えたことも考えられる。
協会関係者によると、一度、新しい携帯電話を提出したものの、特別調査委から機種変更前の電話の提出を求められた例があるという。また、先述の文科省担当者は「(携帯を)壊してしまっているという話もある」と意図的な証拠隠滅の可能性があることを指摘。協会関係者によると、14人の中には、妻に踏まれて携帯電話が壊れたと特別調査委に申告した力士もいるという。
放駒理事長は6日の評議員会で、親方衆に「調査に協力するように各師匠から話をしてくれ」と通達を出しているが、既に機種変更が行われてしまった後となっては“後の祭り”。八百長の全容が解明される日が遠のくことが懸念される。
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