初公判では元秘書の衆院議員、石川知裕被告(37)らの主張に大きな矛盾も浮かんだ。
陸山会が04年10月に土地を購入した際、小沢一郎・民主党元代表は原資として4億円を提供したほか、銀行から同額の融資を受け、これを陸山会が借り入れた。この計8億円のうち04年分政治資金収支報告書に記載されたのは「借入金 小澤一郎 4億円」のみ。これは銀行からの融資分とされ、元代表の提供分を隠したとして石川議員らは起訴されたが、石川議員の弁護側は「記載した4億円は融資分ではなく元代表の提供分で、虚偽記載ではない」と主張した。
だが、05、06年分収支報告書には2億円ずつ融資分の返済が記されている。融資を記載しないのに返済だけ記載するという矛盾が生じる。しかも、石川議員が「記載した」とする提供分は07年5月、元私設秘書の池田光智被告(33)により元代表に返還されているが、これも未記載で起訴対象。池田元秘書の弁護側は「提供分の4億円は元代表の個人資産で陸山会口座で一時預かっただけ。返還は陸山会の支出ではなく記載は不必要」と、提供時と返還時で全く食い違う主張をしている。
また、融資の際、陸山会は元代表の関連政治団体から計1億4500万円を集めて定期預金を組み融資の担保としたが、この1億4500万円も収支報告書に記載せず、起訴対象となっている。石川議員の弁護側は「関連団体間の一時的な資金のやりくりで、上着の左ポケットから右ポケットに移し替えた程度の意識」と違法性を否定。しかし、政治資金を所管する総務省は「同一政治家の団体であっても資金移動は正確に書かなければならない」と指摘している。【杉本修作】
毎日新聞 2011年2月7日 21時58分(最終更新 2月8日 0時10分)