ふと目が覚める、頭が重い、体がだるい。
おかしい、昨日はそんなに飲まなかったはずなんだが…?
重い体を気力で無理やり起こす。
「……あぁ?」
体を起して目に入ったのは見たことのない部屋。
…ヤバイ、酔って全然知らない人の家に入り込んだんじゃないか?
いいや、確かに昨日は自分の部屋で寝たはずなんだが…
そんな風に混乱しているとドアがガチャリと開き、4歳か5歳か、という位の年齢の
女の子が部屋に入ってきた。
女の子と目が合う、すると女の子はびっくりとした様子で慌てて駆け寄ってくる。
「兄さん!目が覚めたのね、大丈夫!?」
兄さんって誰だよ。と思ったのだが口にする前に女の子はすごい勢いで部屋から飛び出し大声で部屋の外に向かって叫ぶ。
「父さん、兄さんが起きたよ!」
父さん?待て、なにがどうなってる…
訳が分からない、ふと視線を自分の手に落としてみる。
手のひらが見える、いやそれは当然なのだが何故こんなに小さい?ありえん、まるで幼い子供の様な…
「ラウル、良かった…具合はどうだ?」
自分の様子に気を取られていると、いつの間にか知らない男性がすぐ傍に来ていた。
すぐ後ろにはさっきの女の子もいた。
「熱が下がらず意識を失くした時はどうなるものかと思ったが…」
男性が安心した様に顔を綻ばせる。
まるで親が子にするように俺の頭を撫でる。だが、この人とは初対面だし、大体俺はもう23歳…
「あの…誰、でしょうか…?」
起きぬけで酷く掠れた声だったが確かに二人には聞こえたようだ。
凄く驚いた様子で女の子が問いかけてくる。
「なにいってるの?父さんでしょ」
女の子はひどく心配した様子で俺を見る。
女
の子にこんな顔をさせたくはないが分からんもんは分からん。
「デルク父さんだよ、それに私はリーリン!」
デルクにリーリン?なんだその外人みたいな…というかアニメかラノベのキャラみたいな名前…
いや待てラノベ?とふと男性の顔をみる。心配し困惑した様子のその顔は何処かで見たような…?
「デルク……、サイハー、デン?」
「そうだよデルク・サイハーデン!私たちの父さんでしょ?」
頭に浮かんだのは『鋼殻のレギオス』というライトノルベのタイトル。
ありえんだろう、と頭で否定するが、現状を見るとこれは…
「兄さん、どうしちゃったの?」
「医者を呼んだ方が良さそうだな…」
異世界トリップってヤツですか…?、なんてこったい。