上場企業の2010年4~12月期決算が出そろってきた。新興国需要の取り込みや、スマートフォン(高機能携帯電話)をはじめとするデジタル製品への対応で、明暗が分かれている。
4日までの本紙集計によれば、金融を除く上場企業の昨年4~12月期の連結経常利益の合計額は、前年同期比78%の大幅増だった。円高の逆風は吹いたが、生産拠点の統廃合などによる経費削減が実り、おおむね好調な決算だった。
とはいえ、直近10~12月期の連結経常利益は前年同期比で24%増えたものの、7~9月期より2%減った。単なる経費の削減では利益を出せなくなっているのが実情だ。
電機大手の決算が、それをはっきりと示している。
利息の受け払いを除いた営業利益に注目すると、リーマン・ショック前の07年10~12月を上回ったのは日立製作所と三菱電機の2社だけだ。対照的にソニーやパナソニック、シャープといった家電に軸足を置く企業は、リーマン前の4割から7割強の水準にとどまった。
背景にあるのは、新興国を中心にした国際市場で戦う体制が整っているかどうかの違いだ。
日立は建設機械、三菱電機が生産自動化機器といった具合に、新興国の旺盛な設備投資に欠かせない製品を持つ企業が、利益を着実に伸ばすことができた。
一方、ソニーは韓国勢などが強みを持つ液晶テレビが収益の足を引っ張り、シャープも液晶パネルの単価の下落が響いた。
テレビのように価格が下がりやすい製品に頼る企業は、原材料の値上がりもことさら痛手となる。国内外の過当競争で体力をすり減らすばかりでは、経営資源を成長分野に思い切って投入できない。
東芝は競争相手が多いテレビの生産を数年前から台湾企業に委託し、半導体などの事業を強化してきた。こうした選択と集中が実を結び、スマートフォン向けの部品需要に対応することができた。
11年3月期の利益予想を引き上げたホンダのように、今後も新興国の販売好調を見込む企業は多い。市場のパイが膨らみにくい国内より、高成長が続く新興国の市場に期待をかけるのは当然だ。
ただ、そうした国々にはインフレや社会不安が広がっている。中東情勢も気がかりだ。不透明な市場環境を乗り切るために、稼げる事業や製品をさらに強くする改革を止めるわけにはいかない。
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