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陸山会事件:石川議員、揺れる胸中…「検事に申し訳ない」

 小沢一郎・民主党元代表(68)の資金管理団体「陸山会」の土地購入を巡り、政治資金規正法違反(虚偽記載)に問われた元私設秘書の衆院議員、石川知裕被告(37)は7日、東京地裁(登石(といし)郁朗裁判長)の初公判で「小沢先生から提供された4億円は記載している」と起訴内容を全面的に否認した。元公設第1秘書、大久保隆規(49)、元私設秘書、池田光智(33)両被告も否認した。

 初公判で衆院議員、石川知裕被告(37)は全面無罪を主張したが、これまでの取材に「無罪になる闘いじゃない」と弱気を漏らすこともあった。検察側との対決を巡り「検事に申し訳ない」とも明かし、胸中は揺れ動いているように見える。

 「気力を保つのが大変なんだ」。昨年6月、石川議員はそう漏らした。ゼネコンからの裏金授受や小沢一郎・民主党元代表の関与は強く否定したが、土地購入の公表を遅らせるために登記日をずらしたことは認めるかのような発言もあった。

 「小沢一郎と縁を絶つというのは自分の半生を否定するのに等しい」。勾留中に大学ノートにつづった「獄中日記」には、そんな言葉が残る。師と仰ぐ小沢元代表を必死に守ろうとしたのか、「小沢一郎の呪縛から逃れるべきだ」と迫る検事の説得が「一番きつい」とも記されている。

 石川議員は政治資金収支報告書の記載について小沢元代表に「報告、相談した」と供述したとされる。検察審査会は昨年5月に検察が行った任意の再聴取でも石川議員が供述を変えなかったことを重視、元代表の起訴議決の有力な根拠とした。

 これに対し弁護団は石川議員が再聴取の際に持ち込んだICレコーダーの記録を基に供述の任意性や信用性を争う構えだ。「供述が変遷すると検察審査会に悪い影響を与える」と、検事が供述維持を持ちかけた様子が記録されているという。

 ただし、石川議員が録音の事実を弁護団に伝えたのは再聴取7カ月後の昨年12月。「検事は怒ってるだろうな」。担当検事に好感すら抱き、録音していないとうそをついたことに負い目を感じていたためだ。記録の証拠提出に同意したのは「自分ではなく小沢先生の裁判に有利になると考えた」からだという。

 元代表へ忠誠を誓いつつ検事を裏切ることをためらう石川議員は、法廷という真相究明の場で何を語るのか。裁判の行方を見届けたい。【鈴木一生】

 ◇大久保被告は1年ぶり公判 池田被告は政治と距離

 元公設第1秘書の大久保隆規被告(49)は09年3月に西松建設違法献金事件で逮捕・起訴され、公判中の10年2月に陸山会事件でも起訴されて事件が併合され公判前整理手続きに入ったため、この日が10年1月以来、計3回目の公判となった。

 西松事件で09年5月に保釈された後、周囲に「自分は無実。裁判で絶対勝つ」と語り、岩手で秘書活動を続けていた。だが、10年1月に陸山会事件で再逮捕され「裁判が長引き迷惑をかける」と3月に公設秘書を辞任、事務所も退職していた。

 岩手県釜石市議(91年初当選)から99年の市長選に立候補し落選、小沢元代表の事務所に入った。若手秘書の指導役として元代表の信頼は厚く、ゼネコンからの献金窓口だった。事件当時は陸山会の会計責任者で、石川議員らの上司だった。

 元私設秘書の池田光智被告(33)は石川議員と同じ早稲田大の政治サークルOBで、石川議員の後任として05~08年に陸山会の事務担当者を務めた。09年秋に小沢事務所を辞め、千葉県選出の国会議員秘書に転じて今春の県議選への出馬準備を進めていた。親族は「事件後は政治と完全に縁を切った」と話しており、現在は資格試験の勉強をしているという。【伊藤直孝】

毎日新聞 2011年2月7日 15時00分

 

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